イザヤ 51章
わたしに聞け、正しさを求める人
主を尋ね求める人よ。
あなたたちが切り出されてきた元の岩
掘り出された岩穴に目を注げ。 イザヤ書 51章1節
振り返れば恵み
イザヤ 52章
しかし、急いで出る必要はない
逃げ去ることもない。
あなたたちの先を進むのは主であり
しんがりを守るのもイスラエルの神だから。 イザヤ書 52章12節
急いで逃げなくてもよい
バビロンに留まることは、神の民にふさわしくありません。「立ち去れ、立ち去れ、そこを出よ」と命じられています(11節)。神の民はみな、この命令を聞いています。バビロンに象徴される世は、希望と失意の間で揺…
使徒 21章
パウロがわたしたちの勧めを聞き入れようとしないので、わたしたちは、「主の御心が行われますように」と言って、口をつぐんだ。 使徒言行録 21章14節
主の御心が行われますように
パウロがエルサレムに上ろうとすることに対して、霊に動かされていたティルスの弟子たちは、何回も何回も繰り返して命令語調で反対しました。また、本書の著者であるルカも含めて泣きながらエルサレムに上らないよ…
使徒 22章
「『主よ、あなたはどなたですか』と尋ねると、『わたしは、あなたが迫害しているナザレのイエスである』と答えがありました。」 使徒言行録 22章8節
主よ、あなたはどなたですか
熱心に神に仕えているという確信に満ちていたパウロは、クリスチャン男性は勿論、女性たちをも迫害し、獄に入れ、死に至らせることすら正しいと思っていました。 クリスチャンたちを逮捕しに行くとき、パウロは正午…
使徒 23章
また、馬を用意し、パウロを乗せて、総督フェリクスのもとへ無事に護送するように命じ、次のような内容の手紙を書いた。 使徒言行録 23章24節~25節
無事に護送するように
40人以上のユダヤ人たちの暗殺団が組織されて、パウロを殺す陰謀が企てられました。それはパウロを殺すまでは飲み食いしないと誓いを立てるほどの激しいものでした。この状況から逃れるのは不可能のように見えます…
詩編 115編
偶像を造り、それに依り頼む者は
皆、偶像と同じようになる。 詩編 115編8節
わたしたちこそ、主をたたえよう
古代社会では、戦争はそれぞれの国の守り神どうしの戦いと考えられていました。バビロンへ捕囚となったイスラエルの人びとは、国の守り神が負けたことになり、バビロン人から「彼らの神はどこにいる」(2節)と笑わ…
イザヤ 53章
彼が担ったのはわたしたちの病
彼が負ったのはわたしたちの痛みであったのに
わたしたちは思っていた
神の手にかかり、打たれたから
彼は苦しんでいるのだ、と。 イザヤ書 53章4節
愛、痛みの果てに
イザヤ書後半部には、「僕の歌」と呼ばれる四つの驚くべき使信が記されています。53章はその最後の歌です。これによってやがて新約聖書で全貌を現す主イエスの救いの核心につながる、重大で痛切な福音を伝えていま…
イザヤ 54章
わずかの間、わたしはあなたを捨てたが
深い憐れみをもってわたしはあなたを引き寄せる。
ひととき、激しく怒って顔をあなたから隠したが
とこしえの慈しみをもってあなたを憐れむと
あなたを贖う主は言われる。 イザヤ書 54章7節~8節
神は憐れみに富む
個人も社会も、歴史の中で苦しみもだえる経験を続けています。もっと違った、もっと穏やかな道がないものか。目を伏せ首を振りながら嘆きを繰り返す私たちです。けれども、イザヤ書を通して語り続ける主は、人間と…
イザヤ 55章
耳を傾けて聞き、わたしのもとに来るがよい。
聞き従って、魂に命を得よ。
わたしはあなたたちととこしえの契約を結ぶ。
ダビデに約束した真実の慈しみのゆえに。 イザヤ書 55章3節
魂にまことの命を
民に代わって罪と病を背負われる主の僕の愛と労り。そこから届く回復と癒しの恵みが、55章でも、さまざまな形で約束されています。 「聞き従って、魂に命を得よ」。聞くことは、聖書の信仰の命です。聞くことで信頼…
イザヤ 56章
また、主のもとに集って来た異邦人が
主に仕え、主の名を愛し、その僕となり
安息日を守り、それを汚すことなく
わたしの契約を固く守るなら
…
わたしの祈りの家の喜びの祝いに
連なることを許す。 イザヤ書 56章6節~7節
祈りの家の祝福
56章では安息日への注意と関心が、前面に現れます。バビロン捕囚からの帰還という歴史的な変化を踏まえた言葉が、ここから始まります。歴史と社会が変化するとき、神の民の霊的な課題もまた変化を遂げることが多い…
使徒 24章
さて、2年たって、フェリクスの後任者としてポルキウス・フェストゥスが赴任したが、フェリクスは、ユダヤ人に気に入られようとして、パウロを監禁したままにしておいた。 使徒言行録 24章27節
2年たって
大祭司であり、最高法院の最高裁判官でもあるアナニアが弁護士を連れてきてパウロの死刑を求めています。罪の内容は騒動の罪、反乱の罪、神殿冒涜の罪の三つです。どれをとっても死刑の可能性が高いものです。パウ…
使徒 25章
祭司長たちやユダヤ人のおもだった人々は、パウロを訴え出て、彼をエルサレムへ送り返すよう計らっていただきたいと、フェストゥスに頼んだ。途中で殺そうと陰謀をたくらんでいたのである。 使徒言行録 25章2節~3節
重なる陰謀を乗り越えて
40人の暗殺団の企みも、弁護士を使って判決によってパウロを死刑にさせようとしたことも失敗に終わりました。それでは終わらず、今度は新しく総督として赴任したフェストゥスに、ユダヤ人の最高宗教指導者たちが、…
詩編 116編
主に満願の献げ物をささげよう
主の民すべての見守る前で
主の家の庭で、エルサレムのただ中で。
ハレルヤ。 詩編 116編18節~19節
神への感謝と人々への証し
この詩人は瀕死の病か、迫害の艱難に遭ったのでしょう。「あなたはわたしの魂を死から…助け出してくださった」と体験を語ります(8節)。この死ぬほどの恐ろしい体験は「死の綱」、「陰府の脅威」、「激しい苦しみ…
イザヤ 57章
高く、あがめられて、永遠にいまし
その名を聖と唱えられる方がこう言われる。
わたしは、高く、聖なる所に住み
打ち砕かれて、へりくだる霊の人と共にあり
へりくだる霊の人に命を得させ
打ち砕かれた心の人に命を得させる。 イザヤ書 57章15節
打ち砕かれた心の支え
バビロン捕囚は、イスラエルの民にとって未曽有の試練でした。試練と苦難の中で、人々の信仰も篩われ、試されます。あれほどの悲惨を経験しても、イスラエルの心は神を畏れることから遠いままです。神に立ち帰り遜…
イザヤ 58章
わたしの選ぶ断食とはこれではないか。
…
飢えた人にあなたのパンを裂き与え
さまよう貧しい人を家に招き入れ
裸の人に会えば衣を着せかけ
同胞に助けを惜しまないこと。 イザヤ書 58章6節~7節
礼拝と正義
断食という宗教的行為は、今日のキリスト教会とキリスト者には極めて疎遠な習慣です。一部のキリスト教会では、信仰生活の生きた慣行として重んじられていますが、多くの場合、主に宗教的な実り・敬虔の実行に焦点…
イザヤ 59章
主は正義の行われていないことを見られた。
それは主の御目に悪と映った。
主は人ひとりいないのを見執り成す人がいないのを驚かれた。
主の救いは主の御腕により
主を支えるのは主の恵みの御業。 イザヤ書 59章15節~16節
ただ恵みにより救いが
イスラエルの救いは、現実の歴史の中で、さまざまな曲折を経ます。捕囚からの解放が実現しても、それがすぐさま民に平和と安定をもたらすわけではありません。行き詰まりと閉塞の中で、人々の心にきざすのは、「主…
使徒 26章
「アグリッパ王よ、預言者たちを信じておられますか。信じておられることと思います。」 使徒言行録 26章27節
信じるように祈り続ける
パウロは、旧約の預言は、キリストの復活によって成就したと証しします。さらに福音が異邦人へも開かれている、と語り、アグリッパ王に福音を受け入れるように熱心に話しました。アグリッパ王の父はヨハネの兄弟ヤ…
使徒 27章
しかし、間もなく「エウラキロン」と呼ばれる暴風が、島の方から吹き降ろして来た。「皆さん、元気を出しなさい。わたしは神を信じています。わたしに告げられたことは、そのとおりになります。」 使徒言行録 27章14節、25節
絶えず試練、絶えず主イエスの助け
「良い港」という所でパウロは、これ以上航海を続けることは危険だと感じ、出港をやめるよう求めました。しかし、百人隊長は自分の経験や知識を信頼していた船長や船主を信用し出発します。 その結果、エウラキロン…
使徒 28章
ローマからは、兄弟たちがわたしたちのことを聞き伝えて、アピイフォルムとトレス・タベルネまで迎えに来てくれた。 使徒言行録 28章15節
信仰の勝利者
パウロは暴風を逃れ、マルタという島で助かりました。しかし、パウロはこの島で蝮にかまれて、死ぬと思われましたが、何の害も受けませんでした。主はこのような奇跡を起こし、パウロを救われました(マコ16章18節…
詩編 117編
すべての国よ、主を賛美せよ。すべての民よ、主をほめたたえよ。主の慈しみとまことはとこしえにわたしたちを超えて力強い。ハレルヤ。 詩編 117編1節~2節
福音は全世界へ
この詩は詩編全体の中で最も短いながら、その内容はまことに壮大なものがあります。すべての国だけでなく、すべての民が、それぞれの言語で、主をほめたたえる。ここにはマクロとミクロの両方が視野に入っています…
イザヤ 60章
見よ、闇は地を覆い
暗黒が国々を包んでいる。
しかし、あなたの上には主が輝き出で
主の栄光があなたの上に現れる。 イザヤ書 60章2節
主は輝いておられる
地上を旅する神の民の歩みから闇が一掃されることはありません。いま味わっている悩みと嘆きはいつ終わるのだろうかとの疑問は、教会とキリスト者を悩ませ苦しめます。人間の目に映る限りでは、「暗黒が国々を包ん…
イザヤ 61章
主はわたしに油を注ぎ
主なる神の霊がわたしをとらえた。
わたしを遣わして
貧しい人に良い知らせを伝えさせるために。
打ち砕かれた心を包み
…
つながれている人には解放を告知させるために。 イザヤ書 61章1節
民よ、今こそ喜べ
イザヤ書が描く救いの道筋は、大きく長い弧を描くように進みます。イスラエルの民は、バビロンからの解放を経験します。しかしそれは、決してすべての問題の解決ではありません。人間の苦しみを終わらせるのは人間…
イザヤ 62章
エルサレムよ、あなたの城壁の上に
わたしは見張りを置く。
昼も夜も決して黙してはならない。
主に思い起こしていただく役目の者よ
決して沈黙してはならない。
また、主の沈黙を招いてはならない。 イザヤ書 62章6節~7節
働き続ける主と共に
捕囚の苦しみを解かれ、都エルサレムの再建という歴史の節目に、預言者は焦点を当てています。人々は深く傷つき、疲れ果てています。けれども、荒廃したエルサレムを「シオン」という美しい名で呼ぶとき、イスラエ…
ルカ 1章
マリアは言った。「わたしは主のはしためです。お言葉どおり、この身に成りますように。」 ルカによる福音書 1章38節
神に対する信仰と信頼
ルカによる福音書に描かれているクリスマス物語は、ザカリアの不信仰と対照的にマリアの信仰について語ります。 まず、マリアのところに天使ガブリエルが遣わされ、「おめでとう、恵まれた方」と語りかけます。戸惑…
ルカ 2章
すると、突然、この天使に天の大軍が加わり、神を賛美して言った。
「いと高きところには栄光、神にあれ、
地には平和、御心に適う人にあれ。」 ルカによる福音書 2章13節~14節
神の栄光と人の平和
天使が救い主イエス誕生の夜、羊飼いに告げるメッセージは神への栄光と人への平和でした。この二つの言葉が神と人に最もふさわしい賛美であると天使は告げています。賛美とは神に対する信仰の応答です。救い主イエ…
ルカ 3章
イエスが宣教を始められたときはおよそ三十歳であった。イエスはヨセフの子と思われていた。 ルカによる福音書 3章23節
イエスとは誰であるか
これはルカによる福音書に書かれているイエスの系図の書き出しです。マタイとルカの福音書に記された系図は違った書き方がされています。マタイは旧約聖書の預言の実現として、それに対してルカは地中海世界に住む…
詩編 118編
家を建てる者の退けた石が
隅の親石となった。
これは主の御業
わたしたちの目には驚くべきこと。 詩編 118編22節~23節
ホサナ
この詩の「どうか主よ、わたしたちに救いを」(25節)という言葉は、原文では「ホシア・ナー」で、これは主イエスのエルサレム入場の時に、民衆が叫んだ「ホサナ」という言葉と同じです。この詩は交唱歌というジャ…
イザヤ 63章
彼らの苦難を常に御自分の苦難とし
御前に仕える御使いによって彼らを救い
愛と憐れみをもって彼らを贖い
昔から常に
彼らを負い、彼らを担ってくださった。 イザヤ書 63章9節
父の背に負われて
イザヤ書の終わり近くでも、主の民の苦しみはなお続きます。捕囚は終わりました。けれども長い苦渋と嘆きの後に来るのは、疲労と虚脱、自分はいったい何者かという不安です。 民は自分が陥った苦境を、自らの罪と不…
イザヤ 64章
あなたを待つ者に計らってくださる方は
神よ、あなたのほかにはありません。
昔から、ほかに聞いた者も耳にした者も
目に見た者もありません。 イザヤ書 64章3節
神を待ち望む
捕囚が解けて、民がエルサレムに帰還する時代が、この箇所の背景と考えられます。一説では、紀元前538年に捕囚から解放され、同515年にエルサレム神殿が再建されるまでの期間が、ここでの預言の背景とされます。 荒…
イザヤ 65章
見よ、わたしは新しい天と新しい地を創造する。
初めからのことを思い起こす者はない。
…
見よ、わたしはエルサレムを喜び躍るものとして
その民を喜び楽しむものとして、創造する。 イザヤ書 65章17節~18節
喜びに生きる民
神の言葉は、どのような苦難の中にも希望を見出す力を主の民に与えます。イスラエルの歴史が、その最も鮮やかな実例です。数々の背きと過ちが、選びと恵みを空しくするのではないかと懸念されるような危機がありま…
イザヤ 66章
天はわたしの王座、地はわが足台。
あなたたちはどこに
わたしのために神殿を建てうるか。
…
わたしが顧みるのは
苦しむ人、霊の砕かれた人
わたしの言葉におののく人。 イザヤ書 66章1節~2節
礼拝-神の顧み
長く重厚な書物が、ここで閉じられます。けれどもここで語られた神の言葉は、決して閉じられることがありません。人間と世界、とりわけイスラエルと教会に語りかけ続けます。イザヤ書を通して語られる神の言葉は、…
イスラエルの民は、捕囚という試練の痛手を受けています。神との信頼関係を再建することなど到底不可能なほどの激震が、人間と社会を闇のなかに閉じ込めています。癒しと回復への道を指し示してくださるのは、ただ…