王は慎重に、丁寧に平和を積み重ねてゆく | サムエル記下 9章

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サムエル記下 9章

「恐れることはない。あなたの父ヨナタンのために、わたしはあなたに忠実を尽くそう。祖父サウルの地所はすべて返す。あなたはいつもわたしの食卓で食事をするように」…、メフィボシェトは礼をして言った。「僕など何者でありましょうか。死んだ犬も同然のわたしを顧みてくださるとは。」日本聖書協会『聖書 新共同訳』 サムエル記下 9章7節~8節

王は慎重に、丁寧に平和を積み重ねてゆく

隆盛を極めるダビデにも幾つかの懸念事項が残されていました。ダビデはかつてサウル家に仕えていたツィバという人物を呼び出します。サウル家の後継者について情報を得るためです。

サウル家を慎重に適切に扱うこと。一つ間違えばイスラエルの分裂を招きかねないこの問題にダビデは細心の注意を払います。サウルは一貫してダビデの命を狙い続けた人物です。その悔しさをダビデと苦楽を共にした家臣たちは忘れていないでしょう。サウルの家を篤く用いることは難しい。しかしぞんざいに扱うこともできない。また、ダビデには、サウルの息子ヨナタンとの命をかけた約束がありました。その家を守る責任がダビデにはあったのです(サム上20章13~16節)。

ダビデは苦心したことでしょう。ヨナタンの息子メフィボシェトを王の食卓に招きます。そうすれば、サウル家の行動をダビデの目の届く所に置くことができます。ヨナタンとの友情にも義を通すことができます。

丁寧に丁寧に物事を進めていくダビデ。そこに平和が積み重なってゆきます。

柏木 貴志(岡山教会)