平和の大使 | マタイによる福音書 10章34-42節

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マタイによる福音書 10章34-42節

「わたしが来たのは地上に平和をもたらすためだ、と思ってはならない。平和ではなく、剣をもたらすために来たのだ。」日本聖書協会『聖書 新共同訳』 マタイによる福音書 10章34節

平和の大使

キリスト教を非難する人たちの代表的な攻撃ポイントの一つは、聖書の内容が矛盾しているということです。この箇所もよく誤解されるところです。キリスト教を代表するイメージは「愛」、「平和」であるのに、主イエスは、御自身が来たのは、平和ではなく、剣をもたらすためにきたのだと言われます。一般的なキリスト教の教え、イメージとは矛盾しているように感じられます。

34節は、主イエスが平和を望まないとか、不和を起こすため来られた、という意味ではありません。福音を伝えるときに不可避な葛藤が生じるという意味です。福音がすべての人に歓迎されるわけではないからです。福音を受け入れた人とそうではない人の間で必然的に争いが起こります。

このような争いは最も近い関係である家族の中でより深刻に発生します。キリスト者は平和のために努力するなかで、葛藤を回避するのではありません。自分が今ここで神の平和を伝える大使とされていることを覚えて、忍耐をもって福音を証しします。そのとき、自分をはじめ、置かれているところに平和の君(イザ9章5節)による真の平和が訪れます。

李 哲敏(東広島伝道所)