小出昌司(高知教会牧師)
メッセージ: 最初に知らされた者【高知放送】
【高知放送】
【南海放送】
おはようございます。高知市の上町4丁目にある、改革派高知教会牧師の小出昌司です。
今日から、アドベントの第三週に入ります。クリスマスが近づくに連れて、商業施設には大きなクリスマスツリーが飾られ、讃美歌が流れ、クリスマスケーキの予約チラシが配られています。
イエスさまがお生まれになった時には、どんな様子だったのでしょうか。今朝は、粗末な宿屋の家畜小屋でイエスさまが救い主としてお生まれになったことを、最初に知らされた人にスポットライトを当てながら、お話させていただきます。
ルカ福音書だけに書かれている記事によりますと、最初に救い主イエスさまの誕生の知らせを伝えられたのは、神さまによって選ばれた民であることを誇っていたユダヤ人のエリートたちではなく、そのエリート集団から軽蔑されていた羊飼いたちであったことが分かります(ルカ2:8-20参照)。
私たち日本人は農耕民族ですから、羊飼いという職業に馴染みがありませんが、当時の羊飼いは、神殿礼拝からも遠ざけられ、人口登録にも行けず、野宿をしながら夜通し羊の群れの番をしていた、社会からつまはじきにされていた人たちであったのです。
そのような羊飼いたちにイエスさまの誕生を伝えたのは、神の御使いでしたが、突然のことに驚いている羊飼いたちに向って、「恐れるな。わたしは、民全体に与えられる大きな喜びを告げる。」(ルカ2:10)と言って、「あなたがたのために救い主がお生まれになった」(ルカ2:11)ことを伝え、「この方こそ主メシア(救い主)である」(ルカ2:11)ことを知らせたのです。
このことは、イエスさまが弱い人たちのために誕生されたことを表わしていますが、これこそ預言者イザヤが、「ひとりのみどりごがわたしたちのために生まれた。ひとりの男の子がわたしたちに与えられた。権威が彼の肩にある。その名は、『驚くべき指導者、力ある神 永遠の父、平和の君』」(イザヤ9:5)と伝えられていた、神の御子イエス・キリストの誕生であったのです。
聖書を見ますと、神さまの御使いが天の軍勢と共にイエス・キリストの誕生を喜んで、「いと高きところには栄光、神にあれ」(ルカ2:14)と神を讃美している姿が描かれていますが、これは、神さまの目から見て低いところであるこの地上に救い主が誕生したことが、天におられる神さまのご栄光の表れであると、讃美する歌であるのです。
御使いが天に去って行ったあと、羊飼いたちは、御使いから告げられたことを神さまの言葉と受け止めて、この出来事を見定めるためにと、ベツレヘムへと急いだのです。ベツレヘムに到着した羊飼いたちは、飼い葉桶に寝かされているイエスさまと対面して、初めてイエスさまを救い主として礼拝した者として、聖書に記録されていますが、イエスさまとの対面を済ませた羊飼いたちは、神さまをあがめ、賛美しながら、自分たちに与えられている日常の生活の場へと帰って行ったのです。
しかし、近くの粗末な家畜小屋での出来事を知っていた多くの人たちは、それが神さまの御子キリストの誕生であることを知らされずにいたのです。しかし、神さまから御子キリストの誕生を知らされた羊飼いたちは、すぐにイエスさまに会いに行って、神さまをあがめ、賛美する人生へと変えられていったのです。
最初のクリスマスには、知らされた人と知らされなかった人、会いに行った人と行かなかった人とが描かれていますが、今朝、この放送をお聞きになったあなたは、人工的に飾られたクリスマスではなく、教会の素朴なクリスマスに招かれた方々のお一人なのです。
知らされた人として、この世の住民登録ではなく、キリストが王としてご支配される、神の御国の住民として登録させていただくために、キリストの永遠の命に与からせていただけるという希望をもって、イエスさまに会いに行こうではありませんか。
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