
唐見敏徳(忠海教会牧師)
メッセージ:「クリスマス・タイム・イズ・ヒア」
【高知放送】
【南海放送】
「キリストへの時間」をお聴きの皆さん、おはようございます。忠海教会の唐見です。
クリスマスと音楽とは切っても切り離せないほど、数多くのクリスマスソングが作曲され、演奏されています。
ヴィンス・ガラルディの「クリスマス・タイム・イズ・ヒア」もその一つです。この曲は、1960年のテレビアニメ「チャーリー・ブラウンのクリスマス」のために書かれました。もともとインスト曲として、ジャズ・ピアニストのガラルディが作曲したものに、番組のプロデューサー、リー・メンデルソンが、わずか15分足らずで歌詞を付けた、と言われています。テレビアニメのヒットとともに、この曲も、クリスマスのスタンダード曲の一つとして定着しました。
「クリスマス・タイム・イズ・ヒア」は、半世紀を越えて、ボーカル曲としても、インスト曲としても、いろいろなアーティストにカバーされています。私の推しは、クラングビンというバンドによるカバーです。このギター・トリオは、今年、それまで縁のなかったグラミー賞で、最優秀新人賞にノミネートされました。実際は、結成から15年のキャリアを持つベテランのバンドなのですが。
さて、聖歌隊によるボーカル・バージョンの「クリスマス・タイム・イズ・ヒア」から始まる「チャーリー・ブラウンのクリスマス」には、クリスマスに関連する印象的なシーンが、いろいろ描かれています。その中で最も大切なシーンは、ライナスがチャーリー・ブラウンに、「ほんとうのクリスマス」について語るところでしょう。
彼は、ルーシーに勧められて、クリスマス劇の監督をすることになりました。しかし、誰もチャーリーのいうことは聞かず、劇はカオス状態に。そして、彼が買ってきたクリスマス・ツリー、これは、イエス・キリストを象徴しているのですけれども、これを「みすぼらしい」とルーシーたちに笑われて、チャーリー・ブラウンはひどく落ち込みます。
その時、ライナスが舞台の中央に立って、聖書の言葉を暗唱するのです。それは、ルカ福音書の2章8節から14節、羊飼いたちに天のみ使いがイエス・キリストの誕生を告げる場面です。
「この地に野宿して夜、群を守りをる牧者ありしが、主の使その傍らに立ち、主の榮光その周圍を照したれば、甚く懼る。御使かれらに言ふ『懼るな、視よ、この民、一般に及ぶべき、大なる歡喜の音信を我なんぢらに告ぐ。今日ダビデの町にて汝らの爲に救主うまれ給へり、これ主キリストなり。なんぢら布にて包まれ、馬槽に臥しをる嬰兒を見ん、是その徴なり』 忽ちあまたの天の軍勢、御使に加はり、神を讃美して言ふ、 『いと高き處には榮光、神にあれ。 地には平和、主の悦び給ふ人にあれ』」
ライナスが暗唱しているのは、17世紀初頭に翻訳された「欽定訳」と呼ばれる古い英語聖書からですので、文語訳で読んでみました。このシーンは、作者チャールズ・シュルツの信仰が端的に表されているところだと考えられます。クリスチャンである彼は、ライナスというキャラクターを、自身の代弁者として用いているようです。
この「ほんとうのクリスマス」についてのシーンでは、ただただ、イエス・キリストの誕生に関する聖書の言葉が語られるだけです。ライナスは、先ほどお読みした聖書個所を暗唱し終えると、一言も説明を加えずに舞台を離れます。
しかし、それによって、チャーリー・ブラウンの悩みは和らぎ、そして、ばらばらだった仲間の心が一つにまとまっていきます。そして、みずぼらしかったクリスマス・ツリーをみんなが素晴らしく飾り付けて、賛美歌を歌い、物語は閉じられます。
今日、世界中の教会で、もちろんあなたの街の教会でも、クリスマスの礼拝がささげられます。ぜひ、お近くの教会で、ほんとうのクリスマスを知り、味わっていただきたいと願っています。
※ホームページでは音楽著作権の関係上、一部をカットして放送しています。









