佐野直史(国立聖書教会牧師)
メッセージ:万事が益となるように
おはようございます。国立聖書教会の牧師、佐野直史です。
聖書の中には、神様がすべてのものを造られたことが記されていますが、それだけではなく、永遠のご計画に従って、今もそれを保ち、治めておられることが書かれています。これを、神の「摂理」の働きと言います。
神の摂理を語る上で、重要な聖書の言葉は、「神を愛する者たち、つまり、御計画に従って召された者たちには、万事が益となるように共に働くということを、わたしたちは知っています。」(ローマ8:28)という御言葉です。聖書は、神を愛し、その御計画に従って召された人たちには、「万事が益となるように」、すなわち、良いことも悪いことも、すべてのことが私たちの益となるように共に働くようになることを語っているのです。
「万事が益となる」…この言葉は、「辛いことがあったけれども、それがあって今がある」と言えるような経験をした人にとっては、納得して受け入れることのできる言葉だと思います。けれども、今、苦しみの渦中にある人にとっては、とても受け入れることはできない言葉でもあると思います。
聖書の教えの要約である「ハイデルベルク信仰問答」には、その御言葉をもとに次のように書かれています。「わたしは…たとえこの涙の谷間へ いかなる災いを下されたとしても、それらをわたしのために益としてくださることを、信じて疑わないのです。なぜなら、この方は、全能の神としてそのことがおできになるばかりか、真実な父としてそれを望んでもおられるからです。」(「ハイデルベルク信仰問答」第9主日・問26 吉田隆訳)
たとえ涙の谷間にあったとしても、神はそれを益としてくださる。それは、神が真実な父としてそれを望んでおられるからである、と信仰問答は語ります。私たちは今、涙の谷間にあるかもしれません。そのような中でも、真実な神の力は働いています。