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いのちの感受性

放送日
2011年9月20日(火)
お話し
熊田 なみ子(スタッフ)

熊田 なみ子(スタッフ)

いのちの感受性

 思いがけなく病に罹った友人Iさん。手術を終えて、長い厳しい治療が始まっています。先日お会いした時に「病床日記」を頂きました。それは実にリアルな闘病の現場が見えて来るものでした。のた打ち回る苦しさ、苛立ち、疲れ、神様は、耐えられない試練はくださらないと分かっていても、何ともいえない重苦しさです。パスカルの「病の善用を願う祈り」も教えていただきました。神様への深い心からの悔い改めの祈りなのですが、改めて私たちがいかに神様の恵みに対して感謝が少ないかを反省させられました。私たちは自分の置かれた状況の中で起こり来る出来事を見つめて、その見方が変えられていくことがしばしば起こります。

 「病まなければ」という河野進さんの詩(「カナの婚宴の葡萄酒」・聖恵会出版部)をご存知ですか?その後に続く言葉は「捧げ得ない悔い改めの祈り、聞き得ない救いのみ言葉、負い得ない恵みの十字架、信じ得ない癒しの奇跡、受け得ないいたわりの愛、近づき得ない清い聖壇、仰ぎ得ない輝く御顔」そして最後に「病まなければ人でさえあり得なかった」と。

 日常の中であまりにも些細なことで右往左往してしまう私たち。自分や家族、友人に病が襲ってくる時、「いのちと死」の問題に直面し、真正面から受け止めなければならなくなります。それまで当たり前と思っていた全てが変化し、見えなかった世界が見えてきます。その中で、わたしたちのいのちに対する感受性も大きく変化せざるをえません。

 先日もオフィスの2階にある本屋さんで、よく売れているという小さな本を見つけました。「健康回復セラピー」(サンパウロ・700円)というミニブックです。皆健康こそ一番と思いますからね。ところが前書きには「自分の病気からも得ることがあります。病気によってー不思議なことにー魂がより大きな知恵と同情に向かって広がるのです。あなたの生命は豊かになるのです。」と書かれています。なんという逆転でしょうか。いのちが豊かになるというのですから聖なる逆転です。私たちの内面が大きく変化して、感受性が豊かになっていく…というのです。

 また私たちは、春夏秋冬、大自然の変化と巧妙なバランスや繋がり、例えようもない季節の美しさなどを体験するたびに、いのちの感受性が豊かになります。秋は空が澄み渡る季節。秋の夜長に鈴虫が鳴き読書にふける楽しみ…、満天の星に永遠を想うひととき…私たちがこの不思議な美しさに溢れている世界、厳粛な気持ちにさせられる神秘さに出会う時、作者がいらっしゃらないはずはないと思うことがありますね。人間がどんなに努力しても創造できない偉大な作品であるこの地球に、ほんのひととき生かされているにすぎないのが私たちです。小さな小さな私たち。

 でも神の作品である私たちは、芸術作品を生み出すエネルギーも与えられています。芸術の秋、音楽も絵画も詩も物語も、たとえどんなにそれが拙く、ささやかなものであったとしても、そこに大胆に自分を表現する喜びがあるのです。ただ罪を犯し堕落した人間が生み出すものは、100%満足するということはないですね。

 いつもこの番組は「今日を生きる」で始まります。「今日を生きる」ことはかけがえのない神様からの贈り物。健やかな時も病むときも、新しい命、復活の命をいただいて今日を生きていく恵みです。これからの日々、キリストを信じて確かにいただける「復活のいのち」、この根源的な希望、この「いのち」に生かされる中でいただくすべての贈り物を感謝してお互いに生きていきましょう。  くまだなみこ

 主よ 御業はいかにおびただしいことか。
 あなたはすべてを知恵によって成し遂げられた。
 地はお造りになったものに満ちている。(詩編104編24節)

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