あさのことば

悲しみをありのままに

放送日
2025年5月12日(月)
お話し
小宮山裕一(綱島教会牧師)

小宮山裕一(綱島教会牧師)

メッセージ:悲しみをありのままに


 おはようございます。今日も一日、あなたの上に平和がありますように。
 小宮山裕一です。横浜市の綱島教会で牧師をしています。

 「グリーフケア」という言葉をご存じですか。グリーフとは、悲しみのことです。大切な人を亡くしたり、喪失体験の中で、どのように悲しみと向き合うのか。それを考えるのが、グリーフケアです。

 聖書に登場する一人の人物が、まさに悲しみを体験します。この人の名前は、「ナオミ」といいます。ナオミは、夫と二人の息子、そして、息子の嫁と一緒に、自分の故郷から離れて生活をしていました。そして、ナオミは、夫と息子をそれぞれ亡くすのです。

 失われた家族との温かな日々、そして慣れ親しんだ故郷の風景が一変し、耐えがたい現実が、彼女の心を激しく打ったことでしょう。しかし、ナオミは、その痛みを否定したり、無理に抑え込んだりせず、ありのままに受け入れます。

 外国から故郷に帰ったナオミをみた人々は、ナオミをみて、「ナオミではありませんか」と驚きます。それに対して、「ナオミは言った。『どうか、ナオミ(快い)などと呼ばないで、マラ(苦い)と呼んでください。全能者がわたしをひどい目に遭わせたのです。』」(ルツ1:20)といったのです。

 ナオミとは、「快い」という意味の名前です。マラには、「苦い」という意味があります。つまり、ナオミは、自分の名前を否定し、自らが苦しみの中にいることを正直に伝えます。

 グリーフケアにおいては、心に降りかかる深い悲しみを認め、正直に向き合うことが最初の大切な一歩です。痛みを自覚することにより、癒しへの道が開かれるのです。

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