第91問 礼典の効力
問: 礼典は、どのようにして救いの有効な手段となるのですか。
答: 礼典が救いの有効な手段となるのは、礼典そのものや礼典執行者の中にあるどのような力によるのでもありません。ただ、キリストが祝福してくださることと、信仰によって礼典を受ける人々にキリストの御霊が働いてくださることとによるのです。
聖霊は、御言葉・礼典・祈祷を用いて、私たちの内に信仰と悔い改めを起こし、救いの恵みを下さいます(問85)。問91〜97は礼典(洗礼式と聖餐式)についてです。
二つの間違った考えが否定されています。
(1) 礼典そのものに効力がある、との考え。
日本では塩によるお清めや建築前の地鎮祭などは、受ける人の信仰と無関係にその儀式自体が効力を持つものと思われています。しかし、洗礼式や聖餐式はそうではありません。信仰に基づかなければ、無意味であるばかりか、神への冒涜になるのです。
(2) 執行者に人を救う力がある、との考え。
礼典執行者(牧師)は、神の恵みの取り次ぎ手に過ぎません。誰から礼典を受けたか・受けるかのこだわりや誇りは無用です。
礼典の効力は、次のことに由来します。
(1) キリストの祝福: キリストは洗礼式や聖餐式を通して天から私たちを祝福されます。礼典は、主からもてなしを受ける主との交わりの時なのです。
(2) 信仰: 信仰により、私たちはキリストと結ばれ、礼典の恵みをわがものとします。
(3) キリストの御霊の働き: 聖霊は、洗礼式の水や聖餐式のパンと葡萄酒を通して、私たちの魂に働きかけ、感覚的なしるしを通して、十字架の恵みを私たちに深く味わわせて、現実に救いの恵みをわたしたちに与えて下さいます。
(4) 人が贈り物や食事の接待などの物質的事柄を通して人格的交わりを深めるように、キリストは、礼典という目に見え肌に感じるしるしを通して、私たちとの人格的な結びつきを強め、十字架と復活の恵みを一層豊かに、私たちに与えて下さるのです。
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