キリストへの時間

人生に「やり直し」はあるのか

放送日
2026年7月5日(日)
お話し
山下正雄(ラジオ牧師)

山下正雄(ラジオ牧師)

メッセージ:人生に「やり直し」はあるのか

【高知放送】

【南海放送】

 おはようございます。心の元気を応援する山下正雄です。

 「あのとき、ああしていれば…」と思うことはありませんか。「あんな選択をしなければよかった」、「やり直せるものなら、あの日に戻りたい」…そんな気持ちを、だれもが一度は味わったことがあると思います。

 私たちは、人生のどこかで、「やり直せたらいいのに」と思うことがあります。しかし現実には、時間を巻き戻すことはできません。過去に戻って選び直すことはできません。過去は変えられないからです。だからこそ、「人生にやり直しはあるのか」という問いは、多くの人の心に重く響きます。

 聖書の中に、こんな話があります。ある息子が、父親のもとを離れ、財産を使い果たし、人生を台無しにしてしまいます。誇りも希望も失い、ついには、豚の餌で空腹を満たそうとするほど落ちぶれてしまいました。その息子は、きっと思ったことでしょう。「なぜあんなことをしてしまったのだろう」、「人生をやり直したい」と。

 ところが、その息子が父のもとへ帰ると、父親は、遠くから走り寄り、彼を抱きしめました。そして、こう言いました。「『この息子は、死んでいたのに生き返り、いなくなっていたのに見つかった』(ルカ15:24)のだ。」

 父親は、失敗を元通りにしたわけではありません。失われた財産が戻ってきたわけでもありません。財産を浪費した事実、父を悲しませた日々、みじめに過ごした時間。それらは消えません。

 しかし、父のもとへ帰ったとき、その息子には、「これからの日々」が与えられました。そして、その「これからの日々」があまりにも温かかったので、過去のあの遠回りさえも、人生の一部として意味を持ちはじめたのです。過去の出来事そのものは変わりませんでした。しかし、息子の未来は変わりました。ここに、聖書が語る希望があります。

 私たちは、過去を変えることはできません。しかし、未来が変わることで、過去が違って見えることがあります。かつては取り返しのつかない失敗だと思っていた出来事が、人を思いやる心を育てた経験だ、と気がつくことがあります。遠回りだと思っていた年月が、実は今の自分を形づくる大切な時間だった、と分かることがあります。未来が変わると、過去の意味も変わって見えるからです。

 先ほどの話に登場した息子も、同じでした。父に受け入れられた後で振り返るなら、あの失敗の日々は、単なる無駄ではありませんでした。父の愛の大きさを知るための道のりとなりました。

 聖書の神は、私たちに、過去をなかったことにする、と約束しているのではありません。そうではなく、どんな過去であっても、それに新しい意味を与えることのできるお方だ、と語っています。だから、もし今、「もう遅い」、「取り返しがつかない」と思っていることがあるなら、聖書の言葉に耳を傾けてみてください。人生は、いつでも道のりの途中です。神は、失敗した人を見放さず、帰ってくる人を迎え入れてくださいます。

 過去は変えられません。しかし、神と共に歩み始めるなら、未来は変わります。そして、未来が変わるとき、過去もまた、違った光の中で見えるようになるのです。人生には、神によって与えられる新しい出発があります。それが、聖書の語る「やり直し」の希望なのです。

 今もし「やり直したい」と思っているなら、それはすでに、一歩を踏み出すための「我に返る」瞬間なのかもしれませんね。

今週のプレゼント ≫「新約聖書」新共同訳 (20名) 【締切】7月11日

※ホームページでは音楽著作権の関係上、一部をカットして放送しています。

全ての番組からランダムに
  1. 出エジプト3章 神の約束を忘れてはならない

  2. 小さな朗読会188「やさしい預言者エリシャ」(「母と子の聖書旧約下」85章)

  3. 「祈り」(マルコ1:16-18)

  4. マルコ12章28-34節 いちばんたいせつな掟は何ですか

  5. あなたの人生を照らすもの

  6. Vol.88 滋賀摂理教会(滋賀県)

  7. 信心を鍛える

  8. たいせつなきみ ♪「たいせつなきみ」

  9. ヨブ9章 仲裁者を求めるヨブ

  10. 沖縄で出会った人