12月19日(金) サムエル上28章
サウルはたちまち地面に倒れ伏してしまった。サムエルの言葉におびえたからである。また彼は…、力が尽きていたのである。
日本聖書協会『聖書 新共同訳』サムエル記上28章20節
ダビデへの嫉妬ゆえに執拗に彼の命を狙ったサウルでしたが、今やその狂気にさいなまれて憔悴し、悲しい最期へと向かっていきます。ここでは、サウルが預言者サムエルの霊を呼び出そうとするという、奇妙な話が描かれています。サウルはもはや切羽詰まっていたのでしょう。恐るべきペリシテとの一大決戦を前に、主なる神の御旨を伺おうと手を尽くしたものの、神は完全に沈黙され、何もお答えになりません。恐れと不安が神を見失わせ、自分自身をも完全に見失わせました。そして、取り乱した末に、愚かなことに禁じ手に手を出したのです。そうして彼はエン・ドルの口寄せ女(霊媒師)を通して、亡きサムエルの言葉を求めます。
サウルは藁にもすがりつく思いで、なり振り構わずサムエルに食らいつき、適切な助言を期待しました。しかしサムエルが告げたのは、かつて15章でサウルとの別れ際に語ったのと同じ、主の断固とした裁きでした。サウルと息子たちは戦いで死に絶え、王国はダビデに与えられるとの託宣に、サウルは絶望して地面に倒れ伏してしまいます。
救いようのない惨めな人がそこにいます。でもそんな彼のためにも食事を供して励まそうとする者たちの存在に、神の憐れみを見る思いです。
【祈り】
私たちもまた、あなたを見失い、自分自身を見失ってしまう弱さを抱えています。主よ、憐れんでください。








