7月19日(土) 詩編89編
それでもなお、わたしは慈しみを彼から取り去らず、わたしの真実をむなしくすることはない。
日本聖書協会『聖書 新共同訳』詩編89編34節
89編は、紀元前六世紀初頭のバビロン軍によるエルサレム攻略の頃、ダビデの子孫の一人の王が発した嘆きの歌と思われます。状況は惨憺たるものでした(39節以降)。前の王は廃位され、町の防壁は破られ、略奪されるがままでした。しかし、詩人はただ嘆き、自分の願いをぶつけるようなことはしませんでした。
この詩編には「慈しみ」「まこと」という言葉が繰り返されます。これは恵みの契約に基づく主の愛と真実を指します。つまり、彼は主が民と結んでくださった恵みの契約、特にその中心にあるダビデとの契約を思い、それゆえ、助けを主に求めるのです。まるで主に「契約を思い出してください」と訴えているようです。
ダビデの子である王が主に背くなら、裁かれます(31節以降)。それでもダビデとの契約はとこしえに守られることが約束されています(34節以降)。彼の嘆きと訴えは、その主の約束を信じ、あくまでそれに立ってのものでした。この約束は、やがてダビデの子である主イエスの復活と昇天により実現します。
この世で私たちもさまざまな困難に遭いますが、主イエスにおいて鮮やかに示された神の愛と真実に固く信頼し、忍耐強く(ヘブ10章36節)救いの時を待ちたいと思います。
【祈り】
主よ、試みの多い中、主イエスにより果たされたあなたの約束を固く信じ、忍耐強く歩ませてください。