キリストへの時間

共に味わう賛美の喜び

放送日
2025年5月18日(日)
お話し
唐見敏徳(忠海教会牧師)

唐見敏徳(忠海教会牧師)

メッセージ:共に味わう賛美の喜び

【高知放送】

【南海放送】
 
 おはようございます。広島県竹原市にあります、忠海教会の唐見です。

 以前の放送でお話したことがありますが、私の勤める忠海教会と、障がい者・高齢者のための社会福祉施設聖恵会の間は、田んぼになっています。ちょうどこの時期、田んぼに水が張られ、ほどなくして、田植えが始まります。田んぼに水が入ると、いったい今までどこに隠れていたんだ、というくらいたくさんのカエルが現れます。そして、否応なく、彼らの大合唱を聞くことになります。
 
 「かえるの合唱」という曲があります。「かえるのうた」という方が馴染みがあるかもしれません。おそらく、子どもの頃、小学校の音楽の時間で歌ったことがあるのではないでしょうか。最近だと、この曲が、目の病気の発見と予防に関するCM「アイフレイルのうた」に使われていました。ちょうど老眼進行中の私にとって、とてもタイムリーでした。

 この曲はもともと、「かっこう」、「ぶんぶんぶん」、また後にドイツ国歌となる「ドイツの歌」などを書いた、アウグスト・ハインリヒ・ホフマンによる、19世紀ドイツの唱歌です。日本人で「かえるの合唱」を知らない人はほぼいないと思いますが、本国のドイツをはじめ、世界的にはそれほど知られていないようです。アメリカでは、日本のフォークソングとして認知されていたりします。

 なぜ日本でこれほど認知されているかを考えるとき、音楽家岡本敏明について触れないわけにはいきません。岡本敏明は、1907年生まれ、昭和時代に活動した音楽家です。玉川学園や国立音楽大学などの民間での活動とともに、文部省教科書選定委員として、戦後の音楽の教科書、指導要領の作成に携わりました。

 「かえるの合唱」は、昭和の初め、彼が玉川学園の音楽教師時代に、同学園を訪れていたヴェルマー・ツィンメルマンを通して知り、邦訳をつけたものです。やがて、戦後の新しい音楽教科書に採用されることになりますが、紹介したのは彼でした。

 岡本敏明の音楽の原体験は、教会音楽でした。彼の父は教会の牧師、母はオルガン奏者で、文字通り、生まれたときから賛美歌に囲まれて育ちます。成人してからは、所属する教会やYMCAなどで、オルガニストや聖歌隊の指導者として奉仕しながら、教会音楽の作品を書いています。たとえば、1955年版の「讃美歌」には、「すべてのひとにのべつたえよ」(225番)など、彼の作曲した賛美歌が7曲収められています。

 聖書に、次のような言葉があります。「ハレルヤ。わたしたちの神をほめ歌うのはいかに喜ばしく 神への賛美はいかに美しく快いことか。」(詩編147:1)これは、旧約聖書にある詩編の言葉です。「ハレルヤ」というのは、「主(神)をほめたたえよ」という意味です。

 この詩編の前後、146編から150編まで、ハレルヤ、「主をほめたたえよ」という呼びかけで始まっていて、「ハレルヤ詩編」と呼ばれています。礼拝に集う人々が声を合わせ、思いを合わせて賛美の歌を歌っている様子が浮かんできます。何事にも代えがたい喜びや楽しさが、そこにあることを教えています。

 彼の音楽、特に合唱曲への情熱の背後には、この喜びや楽しさがあるのではないか、と私は想像します。そして、この喜びや楽しさは、毎週日曜日に教会で行われている礼拝の賛美を通して、味わうことができます。「キリストへの時間」をお聴きの皆さんにも、実際に味わっていただきたいと願っています。

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※ホームページでは音楽著作権の関係上、一部をカットして放送しています。

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