弱虫だったわたしは、「叩かれたら、叩き返してやれ」と、よく親から言われました。これが世の常識でしょう。けれども、高校一年生でこの聖書の言葉に初めて出会ったわたしは、聖書の方が正しいと思いました。月に一度は別れ話が出るような家庭で育ったわたしは、言い返したり、叩き返したりすると、次にどうなるのか、いやというほど分かっていたからです。叩かれたら叩き返すとは、相手と対等の強さや自立を証明することでしょうか。むしろ、いつも相手の行動に支配される、従属的な生き方ではないでしょうか。あなたの頬を打つ者には、もう一方の頬をも向けなさい。上着を奪い取る者には、下着をも拒んではならない。(ルカ6:29)