ウエストミンスター小教理問答の学び 第67〜69問

第67〜69問 第六戒

問67: 第六戒は、どれですか。
答:   第六戒はこれです。「あなたは殺してはならない」。

問68: 第六戒では、何が求められていますか。
答:   第六戒が求めている事は、私たち自身の命と他人の命を守るために、あらゆる正当な努力をすることです。

問69: 第六戒では、何が禁じられていますか。
答:   第六戒が禁じている事は、私たち自身の命を奪うこと、あるいは隣人の命を不当に奪うこと、またその恐れのあるようなすべての事です。


命を守る義務


 小教理問答によれば、第六戒は殺人を禁じるだけでなく、人の命を守るための様々な努力も命じています。人の命は、次のような場合に危険にさらされます。
(1) 人の悪意(憎しみや殺意)、

(2) 病気、

(3) 健康を損なう生活、

(4) 飢えや悪い環境等。
 そこで、第六戒に従う努力は、憎しみの抑制、社会秩序維持、医療・福祉、健康の自己管理など様々な方面に及びます。

人間の大切さ


 第六戒の要求は、命を守ることよりもさらに広い範囲にまで及んでいます。
(1) 創世記9:6は、「人の血を流す者は、人に血を流される、神が自分のかたちに人を造られたゆえに」と教えて、殺人禁止の根拠を人間の尊厳(神のかたち)においています。イエス様も、殺人に類する罪として、人間の尊厳を軽んじる罪(兄弟に向かって愚か者、ばか者という罪)を上げられました(マタイ5:21-22)。第六戒は、「人間の尊厳を重んじよ」との戒めでもあります。

(2) ヨハネ第一書3:15は「兄弟を憎む者は皆、人殺しです」と教え、兄弟愛を勧めています。人を愛する時、私たちは、その人の存在自体を喜びます。反対に、愛さない時に(憎む時に)、私たちは、その人の存在自体を煙たく思い、その人が存在しなくなることさえ願います。ヨハネはこれを「人殺し」の罪だと指摘しました。「殺してはならない」は、そのような愛の対極にある憎しみを禁じる戒めであり、積極的には、私たちが出会うすべての人々を愛すること(その存在を喜ぶ事)を求める戒めなのです。

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