ウエストミンスター小教理問答の学び 第83問

第83問 罪の重さの相違

問: 律法違反の罪は、みな同じ重さですか。

答: ある罪は、それ自体で、またいくつかの加重によって、他の罪よりも神の目に重罪です。


罪の重さの相違

 問83は、私たちが犯す罪について、重さに相違があることを教えています。
 罪の重さの相違は二つの点から出てきます。

(1) 罪自体の相違: 十戒の禁じる罪の内、貪りより盗みが、盗みよりも殺人が、重い罪である事は明らかです。罪自体の重さに相違があります。

(2)加重の有無: 富んでいる者が貧しい者から盗むのと、貧しい者が飢えたあげくに盗むのとでは、同じ盗みでも重さが違います。あるいは、悪であることを承知で人を中傷する人は、分別のあいまいな子供が中傷するよりも重い罪を犯しています。罪が犯される事情や罪を犯す人の状況によって、罪の重さには相違があります。

罪の重さの相違が指摘される意義

 罪の重さに相違があるとの指摘には、次のような意義があります。

(1) 日々、罪と戦い、聖化を目指すため。
 すべての人は日ごとに罪を犯します(問82)。しかし、「人はどうせ罪人なのだから」という理由で、神と人を愛する努力(道徳的努力)を放棄すべきではありません。なぜなら、罪の重さには相違があるからです。重い罪を特に悲しみつつ、罪と戦い、神の御心を行なう努力へと信仰者は招かれています。

(2) 互いに忠告しあうために。
 信仰者は、「同じ罪人同志だから」という理由で、人からの忠告を拒んだり、人への忠告を差し控えたりすべきではありません。罪人同士であっても、重い罪に対しては当然、忠告が行なわれるべきです。

(3) 教会の戒規が行われるために。
 戒規とは、重い罪を犯した人に教会が与える教育的罰で、除名、陪餐停止、訓戒などがあります。「誰でも罪人だから、兄弟姉妹を裁く資格はない」という理由で戒規を差し控えるべきではありません。教会は、悔い改める者を赦して下さる主に頼り、当人の悔い改めを願いつつ、重い罪に対しては罰を課する事が出来ますし、そうするべきなのです。

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目次

※月刊誌「ふくいんのなみ」で
第1問 人の主な目的 問: 
第2問 唯一の基準である聖書
第3問 聖書の内容 問: 聖
第4問 神とはどんな方か 問
第5問 ただひとりの神 問:
第6問 三位一体の神 問: 
第7問 聖定 問: 神の聖定
第8問 聖定の実行 問: 神
第9問 世界の創造 問: 創
第10問 人間の創造 問: 
第11問 神の摂理の御業 問
第12問 命の契約 問: 神
第13問 アダムの堕落 問:
第14〜15問 罪の定義とア
第16問 全人類の堕落 問:
第17問 堕落の結果 問: 
第18問 人類の罪 問: 人
第19問 人類の悲惨 問: 
第20問 恵みの契約 問: 
第21問 贖い主キリスト 問
第22問 キリストの受肉 問
第23問 キリストの職務 問
第24問 キリストの預言者職
第25問 キリストの祭司職
第26問 キリストの王職 問
第27問 キリストのへり下り
第28問 キリストの高挙 問
第29問 救いの適用 問: 
第30問 キリストとの結合
第31問 有効召命 問: 有
第32問 この世での祝福 問
第33問 義認の恵み 問: 
第34問 子とされること 問
第35問 聖化 問: 聖化と
第36問 神の愛の確信と祝福
第37問 死の時の祝福 問:
第38問 復活の時の祝福 問
第39問 神が求めておられる
第40問 道徳律法 問: 神
第41問 道徳律法の要約 問
第42問 十戒の要約 問: 
第43〜44問 十戒の序言
第45〜48問 第一戒 問4
第49〜52問 第二戒 問4
第53〜56問 第三戒 問5
第57〜62問 第四戒 問5
第63〜66問 第五戒 問6
第67〜69問 第六戒 問6
第70〜72問 第七戒 問7
第73〜75問 第八戒 問7
第76〜78問 第九戒 問7
第79〜81問 第十戒 問7
第82問 律法を守れない人間
第83問 罪の重さの相違 問
第84問 罪の深刻さ=神の怒
第85問 救いの恵みを受ける
第86問 イエス・キリストへ
第87問 命に至る悔い改め
第88問 恵みの外的手段 問
第89問 御言葉の恵み 問:
第90問 御言葉の読み方、聞
第91問 礼典の効力 問: 
第92問 礼典の定義 問: 
第93問 新約の礼典 問: 
第94問 洗礼とは 問: 洗
第95問 受洗者 問: 洗礼
第96問 聖餐式とは 問: 
第97問 陪餐者の義務 問:
第98問 祈りとは 問: 祈
第99問 祈りの基準 問: 
第100問 主の祈りの序言
第101問 主の祈り、第一の
第102問 主の祈り、第二の
第103問 主の祈り、第三の
第104問 主の祈り、第四の
第105問 主の祈り、第五の
第106問 主の祈り、第六の
第107問 主の祈りの結び