ウエストミンスター小教理問答の学び 第41問

第41問 道徳律法の要約

問: 道徳律法は、どこに要約的に含まれていますか。

答: 道徳律法は、十戒の中に要約的に含まれています。


道徳律法と人間の道徳

 神は、善を行うよう人に命じておられます。これを道徳律法と言います。
 神はこの道徳律法を人の心に刻まれました。そこで、どの民族にも道徳(善悪を判断し善を選ぶ思い)が与えられていますし、その道徳の多くは共通しています。例えば、「殺すな、盗むな、姦淫するな、父と母を敬え、偽るな」等の道徳は、どの民族にもほぼ共通です。
 けれども、人は神に背き堕落しましたから、人の心に刻まれた道徳は、様々に歪められてもいます。例えば、ある国では神が禁じられる仇討ち(復讐)が美徳とされますし、ある国では姦淫が公然と行なわれています。神様が人の心に刻まれた道徳律法は、今も人々の内に名残を留めてはいますが、神様が与えて下さった完全さでは、残っていないのです。

道徳律法の要約である十戒

 堕落した人間のために、神様は本来の道徳を聖書に記されました。聖書には人の主観で歪められていない道徳が教えられています。
 特に出エジプト記20章の十戒は、道徳律法を要約したものとして、教会によって用いられてきました。十戒を通して私たちは、道徳の全体をバランスよく知る事ができるのです。

十戒とは

 十戒は、神の民イスラエルの基本法です。
 イスラエルはエジプトの奴隷状態から救われ、約束の地カナンに旅する途中、シナイ山で神と契約を結び、神の民となりました。この契約で神はイスラエルへの守りと愛を約束され、イスラエルは神への服従を約束しました。そのとき、服従のあり方を示す法が神から与えられました。律法(掟)です。この律法の中心、神の民の基本法が十戒なのです。
 従って十戒は、正確には道徳の要約ではなく、神の民の基本法です。従って、大部分は重要な道徳を網羅するものですが、キリストの救いを待ち望む旧約時代を生きる民の特殊な事情も反映しています。特に第四戒(安息日律法)はこの事情を強く反映させています。

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目次

※月刊誌「ふくいんのなみ」で
第1問 人の主な目的 問: 
第2問 唯一の基準である聖書
第3問 聖書の内容 問: 聖
第4問 神とはどんな方か 問
第5問 ただひとりの神 問:
第6問 三位一体の神 問: 
第7問 聖定 問: 神の聖定
第8問 聖定の実行 問: 神
第9問 世界の創造 問: 創
第10問 人間の創造 問: 
第11問 神の摂理の御業 問
第12問 命の契約 問: 神
第13問 アダムの堕落 問:
第14〜15問 罪の定義とア
第16問 全人類の堕落 問:
第17問 堕落の結果 問: 
第18問 人類の罪 問: 人
第19問 人類の悲惨 問: 
第20問 恵みの契約 問: 
第21問 贖い主キリスト 問
第22問 キリストの受肉 問
第23問 キリストの職務 問
第24問 キリストの預言者職
第25問 キリストの祭司職
第26問 キリストの王職 問
第27問 キリストのへり下り
第28問 キリストの高挙 問
第29問 救いの適用 問: 
第30問 キリストとの結合
第31問 有効召命 問: 有
第32問 この世での祝福 問
第33問 義認の恵み 問: 
第34問 子とされること 問
第35問 聖化 問: 聖化と
第36問 神の愛の確信と祝福
第37問 死の時の祝福 問:
第38問 復活の時の祝福 問
第39問 神が求めておられる
第40問 道徳律法 問: 神
第41問 道徳律法の要約 問
第42問 十戒の要約 問: 
第43〜44問 十戒の序言
第45〜48問 第一戒 問4
第49〜52問 第二戒 問4
第53〜56問 第三戒 問5
第57〜62問 第四戒 問5
第63〜66問 第五戒 問6
第67〜69問 第六戒 問6
第70〜72問 第七戒 問7
第73〜75問 第八戒 問7
第76〜78問 第九戒 問7
第79〜81問 第十戒 問7
第82問 律法を守れない人間
第83問 罪の重さの相違 問
第84問 罪の深刻さ=神の怒
第85問 救いの恵みを受ける
第86問 イエス・キリストへ
第87問 命に至る悔い改め
第88問 恵みの外的手段 問
第89問 御言葉の恵み 問:
第90問 御言葉の読み方、聞
第91問 礼典の効力 問: 
第92問 礼典の定義 問: 
第93問 新約の礼典 問: 
第94問 洗礼とは 問: 洗
第95問 受洗者 問: 洗礼
第96問 聖餐式とは 問: 
第97問 陪餐者の義務 問:
第98問 祈りとは 問: 祈
第99問 祈りの基準 問: 
第100問 主の祈りの序言
第101問 主の祈り、第一の
第102問 主の祈り、第二の
第103問 主の祈り、第三の
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第105問 主の祈り、第五の
第106問 主の祈り、第六の
第107問 主の祈りの結び