ウエストミンスター小教理問答の学び 第35問

第35問 聖化

問: 聖化とは、何ですか。

答: 聖化は、神の一方的恵みによる御業です。それによって私たちは、人間全体にわたり神のかたちにしたがって新しくされ、ますます罪に死に義に生きることができるものとされるのです。


神のかたちに従って

 聖化とは、信じる者を素晴らしい人間に回復して下さる神様の御業のことです。
 人間の素晴らしさは、人間が知識と義と聖において神のかたちにしたがって創造されたことに由来します(問10)。この素晴らしさを人は神に背いたために失いました(問18)。しかし、キリストを信じる時、この素晴らしさを神は回復して下さいます。

(1) 知識: 人間の素晴らしさは、自分を超えた永遠の存在である神を知り、それに基づいて人生の意味と世界の意味を知っていることでした。神に背いて失ったこの知識を、神は信徒の内に回復して下さいます。

(2) 義(道徳性): 道徳性も人間の素晴らしさでした。神に背いて失ったこの道徳性を、神は信徒の内に回復し、愛(道徳の基礎)を心に起こし、善を行わせて下さいます。

(3) 聖(宗教性): 世界を越える永遠の神を仰ぐ宗教性(聖性)も、人間の素晴らしさでした。人は神に背いて真の神を見失い、神ならぬものにひれ伏す倒錯した礼拝者になりましたが、神は信徒の内に見えざる真の神への畏れと愛を起こし、礼拝の喜びを回復して下さいます。

漸進的聖化

(1) 「義認」「子とされること」(問33,34)が「神の決定」と言われたのに対して、聖化は「神の御業」と言われています。義認や子とされることはただ一度決定的に行われますが、聖化は、継続的に一生涯を掛けて行われます。

(2) この世で聖化の完成に至る人はいません。日々犯す罪の赦しのために主の十字架に頼る必要がないクリスチャンはいないのです。

(3) この世で聖化の起きない信徒もいません。必ず真の知識、人への愛(道徳)、神への愛(宗教性)が芽生えます。信徒は自分の内に始まっているこの神の業を感謝しつつ認めるべきです。この神の業は生涯続けられ、死の時には完成し、私たちは素晴らしい完全な人間とされて、天国に迎え入れられるのです。

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目次

※月刊誌「ふくいんのなみ」で
第1問 人の主な目的 問: 
第2問 唯一の基準である聖書
第3問 聖書の内容 問: 聖
第4問 神とはどんな方か 問
第5問 ただひとりの神 問:
第6問 三位一体の神 問: 
第7問 聖定 問: 神の聖定
第8問 聖定の実行 問: 神
第9問 世界の創造 問: 創
第10問 人間の創造 問: 
第11問 神の摂理の御業 問
第12問 命の契約 問: 神
第13問 アダムの堕落 問:
第14〜15問 罪の定義とア
第16問 全人類の堕落 問:
第17問 堕落の結果 問: 
第18問 人類の罪 問: 人
第19問 人類の悲惨 問: 
第20問 恵みの契約 問: 
第21問 贖い主キリスト 問
第22問 キリストの受肉 問
第23問 キリストの職務 問
第24問 キリストの預言者職
第25問 キリストの祭司職
第26問 キリストの王職 問
第27問 キリストのへり下り
第28問 キリストの高挙 問
第29問 救いの適用 問: 
第30問 キリストとの結合
第31問 有効召命 問: 有
第32問 この世での祝福 問
第33問 義認の恵み 問: 
第34問 子とされること 問
第35問 聖化 問: 聖化と
第36問 神の愛の確信と祝福
第37問 死の時の祝福 問:
第38問 復活の時の祝福 問
第39問 神が求めておられる
第40問 道徳律法 問: 神
第41問 道徳律法の要約 問
第42問 十戒の要約 問: 
第43〜44問 十戒の序言
第45〜48問 第一戒 問4
第49〜52問 第二戒 問4
第53〜56問 第三戒 問5
第57〜62問 第四戒 問5
第63〜66問 第五戒 問6
第67〜69問 第六戒 問6
第70〜72問 第七戒 問7
第73〜75問 第八戒 問7
第76〜78問 第九戒 問7
第79〜81問 第十戒 問7
第82問 律法を守れない人間
第83問 罪の重さの相違 問
第84問 罪の深刻さ=神の怒
第85問 救いの恵みを受ける
第86問 イエス・キリストへ
第87問 命に至る悔い改め
第88問 恵みの外的手段 問
第89問 御言葉の恵み 問:
第90問 御言葉の読み方、聞
第91問 礼典の効力 問: 
第92問 礼典の定義 問: 
第93問 新約の礼典 問: 
第94問 洗礼とは 問: 洗
第95問 受洗者 問: 洗礼
第96問 聖餐式とは 問: 
第97問 陪餐者の義務 問:
第98問 祈りとは 問: 祈
第99問 祈りの基準 問: 
第100問 主の祈りの序言
第101問 主の祈り、第一の
第102問 主の祈り、第二の
第103問 主の祈り、第三の
第104問 主の祈り、第四の
第105問 主の祈り、第五の
第106問 主の祈り、第六の
第107問 主の祈りの結び