ウエストミンスター小教理問答の学び 第1問

第1問 人の主な目的

問: 人の主な目的は何ですか。

答: 人の主な目的は、神の栄光をあらわし、永遠に神を喜ぶことです。


主な目的の必要性

 私たちは生まれてから死ぬまでに、力を尽くして立ち向かうべき様々な課題が与えられます。勉強・育児・職業など、課題は尽きることがありません。
 けれども、その時々の課題に身をすり減らし、ベルトコンベアーで運ばれるようにいつの間にか死という終着点に辿り着くのでは、あまりに空しい一生です。
 また現代では、様々な課題を終えた老後の生活も長いのです。その時々の課題だけが生きる目的であるならば、長い老後は用無しの人生になります。
 人間として生きている限り、生き甲斐のある人生を送るためには、どんな時も変わらない「人の主な目的」を知る必要があります。

主な目的の二つの要素

 人が主な目的とできるものは限られています。

 第一に、人には使命(目標)が必要です。目標のない人生は、どんなに楽しみがたくさんあっても、空しい人生です。
 生きている限り持つことができる人生の目標を見つけることは難しいことです。聖書は「神の栄光をあらわす」ことを私たちの使命と教えています。これは生きる限り持つことの出来る目標です。勉強・育児・職業を通し、また、終生変わらない祈りと信仰によって、私たちは神の栄光を現すことができるのです。

 第二に、人には喜び(幸福)が必要です。使命感だけの人生は辛く苦しいものです。慰めや喜びが私たちには必要です。
 生きる限り続く喜びも見い出しにくいものです。聖書は「神を喜ぶこと」を変わらない喜びとして教えています。若い日も老齢の日も、愛と清さに満ちた素晴らしい神様を仰ぐ時、私たちの人生から喜びが失くなる日がないのです。

「神の栄光をあらわす」とは

 「神の栄光をあらわす」とは、「神様のすばらしさをあらわす」という事です。どうしたら神様の栄光をあらわすことができるでしょうか。

宗教的行為によって

私たちは、宗教的行為によって神様の栄光を現すことができます。礼拝、祈り、賛美、信仰の表明(信仰告白)、教会での奉仕などにより、神様のすばらしさを直接にあらわすことが出来るのです。

生活全体によって

また私たちは、私たちの人生全体によって神様の栄光を現すことができます。

 第一に、私たちは自分の人生全体によって、創造者でいらっしゃる神様の栄光を現すことが出来ます。
 私たちが人間としての素晴らしさ(能力や宗教心や道徳心や愛)を高めるならば、人間を素晴らしい存在として造られた神様の栄光を現すことが出来ます。
 また、私たちが、世界の美しさや資源の豊かさや住やすさ等々を、環境保護・労働・文化的活動・社会的活動等々によって明らかにする時、この世界を造られた神様の栄光を現すことが出来ます。

 第二に、私たちは救いの恵みを頂いて生きることによって、救済者でいらっしゃる神様の栄光を現すことができます。
 例えば、神様は私たちのすべての過ち(罪)を赦して下さいます。私たちが日々、罪赦される喜びに内に生きる時、神様の栄光を現すことが出来ます。
 あるいは、神様は私たちをご自分の子供のように愛し、鍛えて下さいます。順境の日は神様の愛に感謝し、逆境の日は鍛えて下さる神様の愛に信頼し、神様の愛と清さに少しでも倣おうとして生きるなら、神様の栄光は現されるのです。

「永遠に神を喜ぶ」とは

 「神を喜ぶ」とは神様の下さる恵みを喜ぶことよりももっと深いことです。私たちが人を愛する時、その人から受ける利益ではなく、その人の存在自体を喜びます。同じように、人の主な目的は神様のご存在自体を喜ぶことです。神様の素晴らしさに目が開かれ、神様のご存在自体を喜ぶ時に、その喜びは死の時も死の後も続きます。神様は死の時も死の後も私たちに出会って下さる方だからです。地上の喜びはやがては途絶えます。しかし、神を喜ぶ時に人は、人の主な目的である「永遠の喜び」を獲得するのです。

神を喜ぶ様々な道

どのような仕方で「神を喜ぶ」ことができるでしょうか。

 第一に、私たちは、聖書を読み、祈り、礼拝することを通して、神様の素晴らしい御人格に直接に触れて、神様を喜ぶことができます。

 第二に、私たちは、衣食住、結婚、趣味や旅行など、この世の生活を通して与えられる神様の恵みを感謝し、その恵みを通して届く神の愛を喜ぶことができます。時計を拾うのと愛する人から贈られるのでは、同じ時計を手に入れるのでも喜びに雲泥の相違があります。人は本来、この世の生活で与えられるすべての喜びを神様からの贈物として受けて、「神を喜ぶ」大きな喜びで満たされるべき存在なのです。

 第三に、私たちは救いの恵みを通して神様を喜ぶことができます。すなわち、私たちの罪を赦し、神の子として愛して下さり、私たちの心にも愛を起こして永遠の命を与えて下さる神様の救いの恵みを受けて神を喜ぶのです。この霊的な恵みにより私たちは、神の不変の愛を確信し、順境にも逆境にも、神の愛を信じ抜き、永遠に神を喜ぶことができるのです。

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目次

※月刊誌「ふくいんのなみ」で
第1問 人の主な目的 問: 
第2問 唯一の基準である聖書
第3問 聖書の内容 問: 聖
第4問 神とはどんな方か 問
第5問 ただひとりの神 問:
第6問 三位一体の神 問: 
第7問 聖定 問: 神の聖定
第8問 聖定の実行 問: 神
第9問 世界の創造 問: 創
第10問 人間の創造 問: 
第11問 神の摂理の御業 問
第12問 命の契約 問: 神
第13問 アダムの堕落 問:
第14〜15問 罪の定義とア
第16問 全人類の堕落 問:
第17問 堕落の結果 問: 
第18問 人類の罪 問: 人
第19問 人類の悲惨 問: 
第20問 恵みの契約 問: 
第21問 贖い主キリスト 問
第22問 キリストの受肉 問
第23問 キリストの職務 問
第24問 キリストの預言者職
第25問 キリストの祭司職
第26問 キリストの王職 問
第27問 キリストのへり下り
第28問 キリストの高挙 問
第29問 救いの適用 問: 
第30問 キリストとの結合
第31問 有効召命 問: 有
第32問 この世での祝福 問
第33問 義認の恵み 問: 
第34問 子とされること 問
第35問 聖化 問: 聖化と
第36問 神の愛の確信と祝福
第37問 死の時の祝福 問:
第38問 復活の時の祝福 問
第39問 神が求めておられる
第40問 道徳律法 問: 神
第41問 道徳律法の要約 問
第42問 十戒の要約 問: 
第43〜44問 十戒の序言
第45〜48問 第一戒 問4
第49〜52問 第二戒 問4
第53〜56問 第三戒 問5
第57〜62問 第四戒 問5
第63〜66問 第五戒 問6
第67〜69問 第六戒 問6
第70〜72問 第七戒 問7
第73〜75問 第八戒 問7
第76〜78問 第九戒 問7
第79〜81問 第十戒 問7
第82問 律法を守れない人間
第83問 罪の重さの相違 問
第84問 罪の深刻さ=神の怒
第85問 救いの恵みを受ける
第86問 イエス・キリストへ
第87問 命に至る悔い改め
第88問 恵みの外的手段 問
第89問 御言葉の恵み 問:
第90問 御言葉の読み方、聞
第91問 礼典の効力 問: 
第92問 礼典の定義 問: 
第93問 新約の礼典 問: 
第94問 洗礼とは 問: 洗
第95問 受洗者 問: 洗礼
第96問 聖餐式とは 問: 
第97問 陪餐者の義務 問:
第98問 祈りとは 問: 祈
第99問 祈りの基準 問: 
第100問 主の祈りの序言
第101問 主の祈り、第一の
第102問 主の祈り、第二の
第103問 主の祈り、第三の
第104問 主の祈り、第四の
第105問 主の祈り、第五の
第106問 主の祈り、第六の
第107問 主の祈りの結び