ウエストミンスター小教理問答の学び 第10問

第10問 人間の創造

問: 神は人をどのように創造されましたか。

答: 神は人を、男性と女性とに、知識と義と聖において御自身のかたちにしたがって創造し、被造物の支配を託されました。


人間の創造と科学

(1) 聖書は科学の教科書ではありません。聖書は古代人にも現代人にも分かる仕方で、人間の起源の物語を通して人とは何かを教えています。

(2) 神を否定する無神論的進化論は、学説の一つに過ぎません。神存在の否定には、どんな合理的な根拠もありません。人間が進化の過程上の動物に過ぎなければ、人間はより優れた動物が出現するまでの繋ぎ役に過ぎず、人間の尊厳(かけがえのなさ)は崩壊します。

創造物語の教える人間の本質

 創造物語は、人間の本質を無神論的進化論よりもはるかに正確に教えています。

(1) 神のかたち
 人は、単なる動物ではなく、神のかたちに造られた尊い存在です。これが人間の尊厳の唯一の根拠です。

(2) 神のかたちの具体的現われ
 神のかたちである人間の尊厳は具体的には次の点に現われています。

A. 知識: 人は動物とはかけ離れた知性を持っています。特に、自分自身と世界がが存在することの意味(人生と世界の意味)を考える力は動物の知性と質的に異なります。人は神の知識に似た高貴な知識を持つ者として造られたのです。

B. 義(道徳性): 人は動物と異なり、善を愛し悪を憎む思いを持っています。美しく生きようとする素晴らしい性質が、義であられる神様のかたちとして心に刻み込まれているのです。

C. 聖(宗教性): 祈りのない民族はありません。祈る動物もいません。人は動物 と異なり、神を拝む存在です。人は永遠の存在である神と交わることのできる特別の存在として造られたのです。

男女の本質的平等

 「神は人を、男性と女性とに、…御自身のかたちにしたがって創造」されました。つまり、神のかたちであるという驚くべき人間の尊厳性は、男にも女にも当てはまります。
 つい最近に至るまで、世界のほとんどの国で、女性は男性よりもはるかに劣る存在とされて来ましたが、大昔に書かれた聖書は、男女を本質的尊厳において同等の存在としていたのです。

被造物の支配の委託

(1) 「神は人を…創造し、被造物の支配を託されました」。これは、自然を保つだけではなく、開拓する使命も含みます。創世記によれば、人は最初から「耕す」使命を与えられました(創世記2章15節)。神様がどんなに素晴らしい世界を人間に用意して下さったかは、自然を保つだけではなく、耕す時に明らかになるのです。世界を開拓し文化を築く様々な活動(勉強、労働、家庭形成、福祉、政治活動等々)は、神様の求めておられることです。

(2) ただし、これは、世界を好き勝手に扱える権利ではなく、創造者なる神からの委託を受けた管理者としての使命です。人は神様の造られた世界の素晴らしさを諸活動により明らかにして、神様の栄光を現わすべきであって、環境破壊の権利が人間にあるのではありません。
 環境保全の最良の動機は「自然への畏敬」ではなく「創造者への畏敬」なのです。

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目次

※月刊誌「ふくいんのなみ」で
第1問 人の主な目的 問: 
第2問 唯一の基準である聖書
第3問 聖書の内容 問: 聖
第4問 神とはどんな方か 問
第5問 ただひとりの神 問:
第6問 三位一体の神 問: 
第7問 聖定 問: 神の聖定
第8問 聖定の実行 問: 神
第9問 世界の創造 問: 創
第10問 人間の創造 問: 
第11問 神の摂理の御業 問
第12問 命の契約 問: 神
第13問 アダムの堕落 問:
第14〜15問 罪の定義とア
第16問 全人類の堕落 問:
第17問 堕落の結果 問: 
第18問 人類の罪 問: 人
第19問 人類の悲惨 問: 
第20問 恵みの契約 問: 
第21問 贖い主キリスト 問
第22問 キリストの受肉 問
第23問 キリストの職務 問
第24問 キリストの預言者職
第25問 キリストの祭司職
第26問 キリストの王職 問
第27問 キリストのへり下り
第28問 キリストの高挙 問
第29問 救いの適用 問: 
第30問 キリストとの結合
第31問 有効召命 問: 有
第32問 この世での祝福 問
第33問 義認の恵み 問: 
第34問 子とされること 問
第35問 聖化 問: 聖化と
第36問 神の愛の確信と祝福
第37問 死の時の祝福 問:
第38問 復活の時の祝福 問
第39問 神が求めておられる
第40問 道徳律法 問: 神
第41問 道徳律法の要約 問
第42問 十戒の要約 問: 
第43〜44問 十戒の序言
第45〜48問 第一戒 問4
第49〜52問 第二戒 問4
第53〜56問 第三戒 問5
第57〜62問 第四戒 問5
第63〜66問 第五戒 問6
第67〜69問 第六戒 問6
第70〜72問 第七戒 問7
第73〜75問 第八戒 問7
第76〜78問 第九戒 問7
第79〜81問 第十戒 問7
第82問 律法を守れない人間
第83問 罪の重さの相違 問
第84問 罪の深刻さ=神の怒
第85問 救いの恵みを受ける
第86問 イエス・キリストへ
第87問 命に至る悔い改め
第88問 恵みの外的手段 問
第89問 御言葉の恵み 問:
第90問 御言葉の読み方、聞
第91問 礼典の効力 問: 
第92問 礼典の定義 問: 
第93問 新約の礼典 問: 
第94問 洗礼とは 問: 洗
第95問 受洗者 問: 洗礼
第96問 聖餐式とは 問: 
第97問 陪餐者の義務 問:
第98問 祈りとは 問: 祈
第99問 祈りの基準 問: 
第100問 主の祈りの序言
第101問 主の祈り、第一の
第102問 主の祈り、第二の
第103問 主の祈り、第三の
第104問 主の祈り、第四の
第105問 主の祈り、第五の
第106問 主の祈り、第六の
第107問 主の祈りの結び