キリストへの時間 2024年11月17日(日)放送

唐見敏徳(忠海教会牧師)

唐見敏徳(忠海教会牧師)

メッセージ: 神の一手

【高知放送】
     

【南海放送】
     

 「キリストへの時間」をお聞きの皆さん、おはようございます。忠海教会牧師、唐見です。

 どれくらい知られているかわかりませんが、今日11月17日は、「将棋の日」です。江戸時代、旧暦のこの日に行われていた「御城将棋」にちなんで、日本将棋連盟が定めました。例年、当日あるいは前後の日程で、将棋のイベントが行われます。今年は、将棋連盟創立100周年の節目で、東西の将棋会館がリニューアルされ、すでに各地でプレイベントが行われました。

 現在の将棋界の第一人者は、これは皆さんご存じだと思いますが、藤井聡太さんです。2016年、14歳2か月で史上最年少プロ棋士になり、そのまま29連勝して最多連勝記録をつくりました。その後も、将棋界の8つのすべてのタイトルを独占し(現在は7冠)、デビュー以来、連続勝率が8割を超えるなど、数々の「史上初」の記録を生み出し続けています。

 藤井竜王・名人は、個々の対戦相手の研究はあまりしないのだそうです。そうではなくて、誰が対戦相手であっても勝つための研究、膨大な量の指し手の可能性がある中で、どのような局面でも、正確な読みと正しい形成判断ができるようになるための研究をする。これは、どうすれば棋力が向上するのかということにとどまらす、どのようにしたらよい人生を送ることができるのかについても適用できる考え方だな、と感じました。

 人生は常に、選択と決断の連続であり、人は皆、それぞれの選択と決断の産物だ、ということができます。今日何を食べようか、何を着ようか、といった小さなことから、受験、就職、結婚など、その後の人生に大きな影響を及ぼすことまで、さまざまなことを選び、決めなくてはなりません。そして、その結果が現在のわたしであるといえます。

 人生で直面する問題は、簡単に答えが導き出せるものばかりではありません。将棋の指し手には、なんと10の220乗の可能性があるそうです。40枚の駒を81マスの盤上で戦わせるゲームですら、そのような天文学的な数の選択肢があるわけですから、人生の指し手の可能性の膨大さは、推して知るべしです。人生の局面をどのように読み、判断したらよいのか、何が人生の最善手なのか、自信が持てなくても何もおかしくはありません。逆に、もし自信があるというのなら、それは、単に深く考えていないからではないでしょうか。

 人間は、人生で起こることを完全に予測して、常に最善手を指し続けることはできません。実際、明日に何が起こるのかさえもわからないのです。聖書には、「愚かな金持ち」というたとえがあります(ルカ12:13-21参照)。あるお金持ちが大きな倉を建て、莫大な財産をすべてそこに納めます。そして、これからこの財産を使って人生を楽しもうと思い巡らすのですが、彼はそれを使う前に死んでしまう、というお話です。彼は、人生の指し手を完全に間違えてしまいました。

 人生のいろいろな局面で、とりわけ、何が最善なのか見当もつかないような複雑な人生の局面で、人はどのように考えたらよいのでしょうか。それは、この世界とわたしをつくられた神が、わたしに何を求めておられるのかを問うことです。

 聖書は、神がわたしたちそれぞれに歩むべき人生の道を用意しておられることを教えます。この世界をつくられた神は、わたしたち一人一人に対して、人生のプランをデザインしておられるのです。人間にはまったく先を見通せない状況でも、神は確かに、最善の一手を用意しておられます。必要なのは、神にそれを尋ね求めることです。神は、イエス・キリストを信じる信仰を通して、その神の一手を示してくださいます。



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