【高知放送】
【南海放送】
おはようございます。ラジオ牧師の山下正雄です。
今日は、教会の暦では「ペンテコステ」と呼ばれる日です。キリスト教会では、クリスマスやイースターに並んで、大切な記念日の一つです。クリスマスはもちろん、最近では、イースターさえもが一般社会で行事として普及してきましたので、そのうち、ペンテコステも、今よりは知名度が上がる日が来るかもしれません。
ペンテコステは、日本語では「五旬節」と翻訳されますが、それは、イースターの日から数えて五十日目に当たる日です。もともとは、小麦の収穫を祝うユダヤ教のお祭りに由来していますが、このペンテコステの日に、キリスト教会にとって特別なことが起こりました。そのことを記念して、キリスト教会は、この日を特別に覚えています。
では、どんなことが起こったのでしょうか。イエス・キリストは、十字架におかかりになる前から、弟子たちの上に聖霊が与えられることを約束していました。また、その日が来るまでは、エルサレムを離れないようにとも命じられていました。
やがて、イエス・キリストは、十字架で処刑され、墓に葬られてしまいます。その事件が弟子たちにとって衝撃的な出来事であったことは言うまでもありません。しかし、それよりも弟子たちを驚愕させたのは、葬られたキリストが死者の中からよみがえって、復活したことでした。それが、イースターの出来事です。それから四十日たって、復活されたキリストは天にお帰りになり、再び弟子たちは、イエス・キリストがこの地上におられない生活に戻ります。
それから十日後、つまり、イースターの日から数えて五十日目に、約束された聖霊が弟子たちの上に降ります。この時から弟子たちは、大胆にキリストの福音を宣べ伝え、イエス・キリストの復活の証人として語りだしました。そのために、このペンテコステは、「教会の誕生日」とも呼ばれるようになりました。キリストに従うこの小さな群れに、新しい息吹が吹き込まれて、やがては、世界の果てにまで福音を述べ伝えるものとなったからです。
この聖霊の働きについて、聖書は様々なところで語っていますが、それを一言で言い表すことは困難です。聖霊には多様な働きがあり、しかも、必ずしも聖霊の働きであることが分かるように、前面にでてくることがないからです。例えば、信仰を持つとか、聖書を読んでこれが神の言葉であると確信するとか、それらは人間の側の働きのように思われます。しかし、聖書は、そうした思いを人に抱かせることも、また聖霊の働きであると語っています。
教会に集まる信徒たちの才能もまた、聖霊の働きによって一人ひとりに与えられていると、聖書は語っています。それは、私たちの中で活動し、私たちを動かす命のような働きでもあります。具体的な聖霊の働きを数え上げていけばキリがないくらいです。
聖書の中に、「使徒言行録」と呼ばれる初代教会の働きを記録した書物があります。その書物の中に、今日ご紹介したペンテコステの出来事が記されています。そして、この書物はしばしば、「聖霊言行録」とさえ呼ばれています。なぜなら、そこに記されている使徒たちの働きは、その背後に、聖霊の豊かな導きがあったからです。