【高知放送】
【南海放送】
おはようございます。高知県の山田教会で牧師をしています高内信嗣です。
「親ガチャ」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。「ガチャ」とは「ガチャガチャ」のことです。「カプセルトイ」とも言いますが、小型自動販売機の一種で、硬貨を入れて回転式レバーを回すとカプセル入りのおもちゃが出てきます。私も子供の時によくやりました。出てくるおもちゃはランダムです。何が出てくるか分からない。それがガチャガチャの一つに魅力ではないかと思います。
「親ガチャ」というのは、ガチャガチャがおもちゃの種類を選ぶことができないように、自分は親を選べない。つまり、自分の親や家庭環境によって人生が左右されることを意味しています。2021年の新語・流行語大賞のトップ10に選ばれた言葉で、SNSでも頻繁に見かけるようになりました。
この言葉が急速に広がった背景に、家庭環境の問題や、経済格差の問題があると言えるでしょう。厳しい環境の中で生まれ育った方々は、そのことを「運命的」なこととして受け止めているのだと思います。
昨年11月に、「少年の主張全国大会」が開かれました。全国の参加者から選び抜かれた方々が日頃抱いている思いや考えを発表します。この大会で、ある方が親ガチャをテーマにして話していました。タイトルは「ガチャガチャ言っても始まらないか!」です。「親ガチャ」という言葉によって、運を天に任せるような風潮に率直な疑問を投げかけたのです。この主張は、理事長賞に輝きました。
さて、「親ガチャ」という言葉に表されているように、世間は、運によって人生が決まると考える風潮に流されています。しかし、本当に人生は運なのでしょうか。ギャンブルなのでしょうか。
聖書の中でイエス・キリストというお方はこのようにおっしゃっています。「二羽の雀が一アサリオンで売られているではないか。だが、その一羽さえ、あなたがたの父のお許しがなければ、地に落ちることはない。あなたがたの髪の毛までも一本残らず数えられている。だから、恐れるな。あなたがたは、たくさんの雀よりもはるかにまさっている。」(マタイ10:29-31)
当時、雀は二羽で、一アサリオンで売られていました。一アサリオンは一日の収入の16分の1の金額です。現代で計算するならば300〜500円ほどです。貨幣価値で変化しますが、人間が手ごろに手に入れることができるものということです。そのような価値が低い小さな鳥であっても、神様のお許しなしには地に落ちることはない、とイエス様はおっしゃいます。そうであるならば、私たちはなおさらのことなのです。
また、イエス様は髪の毛のことも例えとして挙げています。髪の毛は平均的に10万本あると言われています。そのすべてを数えるわけにはいきません。しかし、神様はそのすべてをご存じであり、私たちの全てを知っておられるお方です。髪の毛一本であっても、神様の御心の中にあるのです。
私たちの人生はギャンブルでは決してありません。私たちの人生はすべて、天におられる神様の御心の中にあるのです。もちろん、人生に試練や苦しみがあることは事実です。家庭環境によっては、自分の境遇を呪うこともあるでしょう。ですが、神様はそのすべてをご存じであり、あなたの人生に大きな恵みを注いでくださるお方です。ガチャガチャ言ったとしても、神様は今もあなたを見つめ、あなたを愛しておられます。
ぜひ、神様のまなざしに目を向けてみてください。