【高知放送】
【南海放送】
おはようございます。高知県安芸市本町2丁目、森澤病院裏手にある芸陽教会牧師、石川亮です。
今週もまた、ラジオをお聞きくださるあなたと共に、聖書の言葉の恵みにあずかれますことを嬉しく思います。
今週は、私が仕える教会について話したいと思います。私が牧師をしている教会は、冒頭で言いましたように、高知県安芸市にある芸陽教会です。最新の統計では、安芸市の人口は約16,000人と言われています。私の出身地である横浜市に比べたら、大変小さな町です。その中にある芸陽教会は、教会から海岸まで約300メートルという近さに建てられています。ですから、ほんの数分で安芸海岸へ出ることができます。時間に関わらず、海岸を散歩されている人がたくさんいます。
天気が良い日は、青い空と太陽の光に照らされる雄大な紺碧の太平洋を見ることができます。ですが、天気が悪くなると、雄大で穏やかな海とは全く異なり、荒々しい太平洋の海の面が現れます。普段は紺碧の海が、グレーになり、強い風が吹き、高い波が、海岸や堤防に打ち付けます。見ているだけで恐ろしくなります。さらに、波が教会のすぐそばまで迫っているのではないかと錯覚するぐらいの、大きな音がします。強い風と高い波、加えて大きな音。想像以上に荒れる海に、私は非常に怖くなりました。
そんな荒れた海に恐怖を感じた時、マタイによる福音書8章26節の言葉が、私の頭をよぎりました。それは、「イエスは言われた。『なぜ怖がるのか。信仰の薄い者たちよ。』そして、起き上がって風と湖とをお叱りになると、すっかり凪になった。」という聖書の言葉です。…弟子たちと共に船に乗り込んだ主イエスは、眠ってしまいます。湖へ出ると激しい嵐が起こり、船が波にのまれそうになります。弟子たちは、非常な恐怖を感じます。彼らのほとんどが漁師であったにもかかわらず、非常な恐怖を感じるということは、この嵐がもたらした波は、彼らの想像以上のものであったことを示しています。
死ぬかもしれないという恐怖に、彼らは、「主よ、助けてください。おぼれそうです。」(マタイ8:25)と言い、主イエスを起こします。主イエス・キリストは、「なぜ怖がるのか。信仰の薄い者たちよ。」(マタイ8:26)と言われ、風と湖をお叱りになると、弟子たちが恐怖するほどの波は静まり、すっかり凪となります。主は弟子たちに、「信仰の薄い者たちよ」と言います。主イエスが指摘するのは、弟子たちが、主イエスを全面的に信頼していない、ということです。
私たちが試練や苦難にあう時、私たちの心の中は、この先自分がどうなるのか、あるいは大丈夫だろうか、という恐怖や不安で一杯になってしまいます。普段は、主イエスを信じているから私は大丈夫、と言っても、突然に、しかも自分たちの想像以上の試練や苦難に襲われれば、私たちの信仰は小さくしぼんでしまい、心は、恐怖や不安でいっぱいになってしまうことがしばしばあります。
このような時、私たちは、主イエス・キリストを信じているのに、なぜ試練や苦難にあうのか、と思います。しかし、主イエスに従うということは、苦難や試練にあわなくなるのではなく、苦難や試練の中、主イエスを信頼して、主イエス・キリストと共に生きていくことです。そして主イエスは、時に信仰が小さくなってしまう私たちを、「信仰の薄い者たちよ」と叱咤激励して、私たちを正しい方向へと戻してくださるお方でもあります。
主イエスは、風や湖さえも従う、すなわち、すべての物のうえに権威を持つメシアです。荒れ狂う困難な状況においても、静けさを生み出されるお方です。このお方が、私たちと共にいてくださいます。だから、私たちは、何があっても大丈夫です。私たちは、日々の恵みによって信仰が強められつつ、この主イエスを全面的に信頼して、世の歩みを進めていけばいいのです。ラジオを聞くあなたも、主イエス・キリストを信頼して、主イエスと共に歩んでいただきたいと願っています。