おはようございます。長野まきば教会の牧野信成です。
イスラエルが王の下で国を構える前のこと、民を治めたのは、主なる神がお立てになった「士師」たちでした。士師は、「裁き司」とも呼ばれます。政治的な指導者であると同時に、敵の抑圧から人々を解放するために、戦の先頭に立つ戦士でもありました。
その中に一人、「デボラ」という女性がいます。士師記では、「預言者」ともいわれていますが、デボラは「蜂」を意味していて、アブラハム・カイパーは、彼女を「イスラエルのジャンヌダルク」と呼んでいます。
時は、カナン人の王がイスラエルを脅かした時代で、デボラは、なつめ椰子の木の下で裁きを行っていたと伝えられています。彼女は、バラクという戦士を呼び寄せて、敵の将軍であったシセラに立ち向かうための戦略を授けます。バラクは、デボラに同行を求めて、シセラと戦いますが、彼女の周到な戦略によって、敵の戦車と軍勢を追い詰めることに成功しました。
しかし、デボラが予め語っていたのは、将軍にとどめを刺すのはバラクではなく、別の女性である、とのことでした。追い詰められた将軍シセラは、カイン人へベルの妻「ヤエル」の天幕に逃げ込みます。カイン人とは、モーセの妻の親族です。彼女は、シセラを天幕に招き入れて、ミルクでもてなして眠らせます。その隙にシセラの命を奪い、イスラエルに勝利をもたらしたのでした(士師4:4-22参照)。
デボラとヤエルには共通点があります。それは、この二人の女性については、古い歌がその名と功績を記憶していることです(士師5:7、5:24参照)。系図に名を残すのではありませんが、歌になって人々の間に記憶されて、後世に伝えられたのでした。