キリストへの時間 2023年12月10日(日)放送  キリストへの時間宛のメールはこちらのフォームから送信ください

申成日(広島教会牧師)

申成日(広島教会牧師)

メッセージ: イエスの誕生を待つ人々〜アンナ

【高知放送】
     

【南海放送】
     

 おはようございます。広島教会で牧師をしております、申ともうします。
 今朝の気持ちはいかがでしょうか。いつも健やかな日々を過ごされますようにお祈りいたします。先週に続き、イエスの誕生を待つ人として、聖書の人物を紹介させていただきます。

 今日は、年寄りの女性である「アンナ」を紹介します。アンナは、女預言者でした。「預言者」というのは、神の言葉を預かって、人々にそれを伝える人です。今は、教会の牧師がその役割を担っています。差別ではないけれども、当時の社会が男性中心の社会であったことから言えば、女預言者というのは、非常に珍しいことでした。彼女は、84歳の年老いた人でした。結婚して7年間は夫と共に暮らしましたが、その後、夫と死に別れてしまいます。彼女は、おそらく20代に一人となったと思われます。一人になって、84歳になるまで一人で暮らしました。約60年間の長い年月を、一人で生活したのです。

 また聖書によると、彼女は、神殿を離れない生活をしていました。「神殿を離れず、断食したり祈ったりして、夜も昼も神に仕えていた」(ルカ2:37)のです。そのある日、神殿に来ていた生まれたばかりの幼子イエスと出会います。聖書を見ると、「そのとき、近づいて来て神を賛美し、エルサレムの救いを待ち望んでいる人々皆に幼子のことを話した。」(ルカ2:38)と伝えています。アンナは、その幼子が60年間神殿の中で祈り続けながら待っていたメシアであることを悟ると、神を賛美したのです。

 このアンナの賛美の内容は、聖書には記されていないけれども、メシアを60年間も待ち続けた人の賛美というのは、本当に何ともいえない感激の歌だったと思います。クリスマスに歌われる讃美歌は、このような喜びと感激の賛美です。「待ちに待った救い主がお生まれになった。その方は、わたしに、友だちに、人類に、愛と平和を与えてくださる。」…これがクリスマスの讃美歌です。クリスマスは、救い主イエス・キリストがお生まれになった日を祝う日ですのに、今はイエス・キリストのことをまったく知らない人々が、クリスマスを歌って楽しんでいます。それは、何とも言えない不思議な光景です。

  アンナは、この神殿で出会った幼子イエスにより、神を賛美します。そしてその後、彼女は何をしたでしょうか。「もう死んでもよい。これ以上何の悔いもない。」と思ったでしょうか。違います。彼女は、エルサレムの救いを待ち望んでいる人々皆に、この幼子のことについて話しました。つまり、長い間、救い主メシアを待ち求める祈りをしてきたからこそ、その救い主と出会った今は、その方を証しする人生に変わったのです。

 エルサレムの救いを待ち望んでいた人々に、メシアがお生まれになったことを告げ知らせる彼女の姿から、年を取っても消えることのない信仰者の希望を見ることができます。年老いたクリスチャンには、一つの楽しみがあります。それは、今まで信仰の中で生きてきた教会に、信仰の後輩たちが群がることです。それは、直接ではないかもしれませんが、アンナのように、自分の口からイエス・キリストを証しして来た実りです。

 そして、やがて天国において、その後輩たちと再び会える日を楽しみにします。人は、死ですべてのことが終わるわけではなく、天国においての住まいが用意されている。主イエスは、その希望をこの世に与えてくださったのです。



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