キリストへの時間 2023年6月25日(日)放送  キリストへの時間宛のメールはこちらのフォームから送信ください

山下正雄(ラジオ牧師)

山下正雄(ラジオ牧師)

メッセージ: 全能の神を信じる

【高知放送】
     

【南海放送】
     

 おはようございます。ラジオ牧師の山下正雄です。
 キリスト教会では、全能者である神を信じています。平たく言えば、神にはできないことはない、神は何でもおできになる、という信仰です。そんな神が自分の側に立ってくださるとすれば、これほど心強く感じることはありません。

 もっとも、勘違いしてはならないのは、神が全能であるのは、ご自身の御心を成し遂げるということに関してです。無意味なことまで何でもかんでもできる、というのではありません。神が全能であるということは、自分の勝手な願いを全部実現してくれる、という保証でもありません。

 では、そんな神を信じていても、結局は何の意味も無いということでしょうか。苦しい時の神頼みのためだけに神を必要としているのだとしたら、キリスト教の神を信じることには、あまり意味がないかもしれません。しかし、神の御心を真摯に受け止める人にとっては、これほど大きな希望と力はありません。神は御心を必ず成し遂げてくださるからです。ですから、神に祈る時も真剣です。御心でないことをいくら祈っても、それが実現することなどありえないからです。逆に、御心と一致する祈りであれば、人間の思いをはるかに超えて実現します。

 ただ問題なのは、人間の側では、何が神の御心なのかは、必ずしも明白に知ることはできないということです。一般的に、聖書の教えに反することが、御心ではないことはすぐわかります。しかし、自分の願いが神の御心と一致しているかは、簡単にはわかりません。願いが叶わないからと言って、その願いが御心ではなかったと、単純に言い切れるわけではありません。まだその時が到来していない、という場合もあるでしょう。あるいは、自分が願った結果とは違った形で実現することがあっても、そのことを通して、それが神の御心だったのだと受け止めることができることもあります。

 何でもおできになる神を信じるというときに、人間は、ついついその力を自分のために使ってほしいと願いがちです。しかし、結果として、神を動かすことなどできないことに気が付きます。むしろ、自分の方が神の御心に近づき、自分の考えが変えられていきます。丁度、大きな船を動かそうとして、小さなボートに乗った自分が、大きな船にロープを結んで引っ張っているようなものです。そんなことをしても動くのは大きな船ではなく、自分の方です。

 何でもおできになる神を信じるとは、それほど奥が深いことです。わたしの方が変えられ、わたしの方が神の御心に近づいていくとは、何と素晴らしいことでしょうか。そのうえ、神の御心が力強く実現するのを、やがては目の当たりにするのですから、これほどに素晴らしい経験はありません。

 先日、あるクリスチャンの体験談を聞きました。その方は、世界各地で、孤児のために社会的活動を続けてきた方です。それだけの活動を実現させていくためには、素人目に見ても、どれほどたくさんの難問を乗り越えなければならなかったことでしょうか。資金も人材も、周りの理解も、すべてが整えられなければ、とても実現しません。その方は、全能の神が必ず実現してくださることを一度も疑ったことがない、というのです。

 わたしが思うには、その確信の中で、この方は、何度も神の御心を求めて、自分自身が変えられ、御心に近づいて行ったのでしょう。ですから、祈り求めたことが、次々と実現していったのだと思います。全能の神を信じるとは、そういうことなのです。



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