キリストへの時間 2023年4月9日(日)放送  キリストへの時間宛のメールはこちらのフォームから送信ください

唐見敏徳(忠海教会牧師)

唐見敏徳(忠海教会牧師)

メッセージ: 出エジプト記〜真の主人公

【高知放送】
     

【南海放送】
     

 「キリストへの時間」をお聞きの皆さん、いかがお過ごしでしょうか。忠海教会の唐見です。
 今月は5回、モーセ五書を順番に取り上げてお話ししています。2回目の今日は、「出エジプト記」からお話しします。伝統的にキリスト教、そしてユダヤ教は、創世記から申命記までの五つの書物の著者を「モーセ」としています。二番目の書物である出エジプト記から、いよいよモーセが登場します。そして、ここから五書の物語は大きく動き出します。

 出エジプト記から最後の申命記までの4つの書物は、基本的には、ひとつの大きな物語を形づくっています。そこで流れる時間の枠組みは、モーセの誕生から始まり、彼の死で閉じられます。また、そこで描かれる内容は、モーセをリーダーとするイスラエルの約束の地に至るまでの旅路です。その点からモーセ五書をとらえると、創世記はプロローグ、そして出エジプト記から、いよいよ本格的に物語が展開していくといえます。

 出エジプト記は、創世記の終わりを受けて、ヨセフとその兄弟たち、また父ヤコブが移り住んだエジプトから始まります。しかし、時は流れ、かつてエジプトを救ったヨセフのことを知っている人は誰もいない時代となっています。イスラエルの人々は、異国に暮らす寄留者として、厳しい生活を強いられていました。

 そのようなときに、モーセは誕生します。折しも、イスラエルの男児殺害の命令が出されているときでした。ナイル川の岸辺に置かれた生後3か月のモーセは、ファラオの王女に見つけられ、エジプトの王宮で育てられることになります。その後、同胞のイスラエル人を虐待していたエジプト人を殺し、一度エジプトから離れます。しかし、逃れた先のミディアンの地で、主なる神に召し出され、再びエジプトに戻ることになります。イスラエルのリーダーとして、約束の地を目指し、エジプトを出発するのです。出エジプト記は、エジプトを出てシナイ山に至るまでの約1年の出来事を記して、次の書物「レビ記」にバトンタッチします。

 このように、出エジプト記から、モーセを中心に物語が進行していきます。文学的には、モーセが主人公に見えます。しかし、実はそうではありません。真の主人公はモーセではなく、主なる神なのだ、と聖書は語ります。出エジプト記3章、モーセの召命の場面で、主なる神は、初めてご自身の名を明らかにされます。主はモーセに対して、「『わたしはある。わたしはあるという者だ』と言われ、また、『イスラエルの人々にこう言うがよい。「わたしはある」という方がわたしをあなたたちに遣わされたのだと。』」(出エジプト3:14)

 更に続けて、「イスラエルの人々にこう言うがよい。あなたたちの先祖の神、アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神である主がわたしをあなたたちのもとに遣わされた。これこそ、とこしえにわたしの名 これこそ、世々にわたしの呼び名。」(出エジプト3:15)。ここでは、「わたしはある」という神の名が明らかにされます。ヨハネ黙示録では、「今おられ、かつておられ、やがて来られる方」(黙示録1:8)という表現が使われています。

 「わたしはある」という神の名には、聖書が語るまことの神が、時間と空間を超越して存在される絶対的なお方である、ということが示されています。そして、その絶対的な存在である神が、モーセを遣わされたのです。モーセが、彼自身の意思で、イスラエルのリーダーになったわけではありません。それどころか、彼は、何度も固辞しようとしました。けれども、結局、神の御心が実現したということです。

 出エジプト記では、エジプトから約束の地への旅の物語とともに、旅路の途中で与えられたトーラー、律法についても記されています。エジプトを脱出する際には過越の祭りに関すること、荒れ野ではマナに関連して安息日に関することなどが啓示されます。そして、最も重要なものとして、シナイ山において、十戒をはじめとする種々の律法が、モーセを通してイスラエルに与えられます。これらの律法は、イスラエルに対する神の愛を前提に与えられたものです。

 エジプトから約束の地までの旅路において、イスラエルの人々は、ことあるごとに、主に不平不満を訴えます。それでもなお、主は、彼らを守り続けられます。そして、この恵み深い主と不信仰なイスラエルの構図は、実は、わたしたちの信仰生活にも当てはまるものです。信仰の旅路において、神の恵みを忘れ、つぶやいてしまうわたしを、主は、変わることなく守り続けてくださっているのです。



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