いかがお過ごしでしょうか。せんげん台教会の川栄智章です。
「幸福な王子」という、悲しく美しい物語をご存じでしょうか。
村の広場の中心に、金と宝石で飾られた王子の銅像がありました。この王子は生前、裕福に暮らし、世にある貧困を知らずに生涯を終えましたが、銅像となり、高いところから眺めてみて、いかに多くの人々が貧しく、可哀そうであるのかを知り、涙を流しました。
そんな時、暖かい南国に帰るために、急いで旅立つ準備をしていたツバメが、偶然、王子と会話をします。王子は、ツバメに頼んで、貧しい人々に、自分の体に飾られた金箔と宝石、さらに、サファイアで作られた自分の目まで、取って配るように願いました。ツバメは、王子の頼みを聞き入れ、金箔や宝石を一生懸命貧しい人々に配ってやりました。
そうするうちに、冬が訪れ、結局ツバメは、王子のそばで凍死してしまいました。王子の最後は見るべき姿もなく、みすぼらしいものとなり、人々は、王子の銅像を完全に溶かしてしまうことにしました。良い行いをした王子とツバメの結末がこれでは、あまりにも悲しすぎます。
私は最初、これは「不幸な王子」の物語ではないかと思いました。ところが、天国において、王子の心臓と死んだツバメが神様の前に連れて来られ、彼らは、天国で幸福に暮らすようになったのです。彼らの良い行いは、天において、何一つ漏れることなく神様に覚えられ、その報いが豊かに与えられたのでした。