いかがお過ごしでしょうか。東京教会の野島邦夫です。
イエスの十二弟子の中で、最も名が知られているのは、ペトロ、ヨハネでしょうか。そして別の意味で、イスカリオテのユダでしょう。別の意味とは、イエスを裏切って十字架の死に追いやりましたから、悪い意味です。今回のシリーズでは、このユダについて考えます。
彼には、「裏切者」というレッテルが付いて回ります。数十年後に書かれた福音書で、イエスが十二人を弟子にされる記事でも、「このユダがイエスを裏切った」(マルコ3:19)と添え書きされます。今でも、誰か人を裏切ると、「ユダ」と呼ばれることさえあります。ユダからは、どうしても悪人というイメージが浮かんでしまいます。
実際には、ユダは、どのような人物だったのでしょうか。その人となりは、聖書から殆どわかりません。書かれているのは、彼が、イエス弟子団の金入れを預かっていた、金銭への執着心が強く、こっそり抜き取っていたことくらいです。他の弟子たちと、ともかく数年共にいたのですから、目立った悪人とは思えません。しかし、お金を愛した。それで結局、イエスと一緒にいてもお金はもうからないと判断した時、彼は決意し、銀貨30枚でイエスを敵に渡す約束をしたのでしょう。
お金は、人の心を、もっと大切なものを見えなくして、虜にしがちです。これは、ユダだけの話ではありません。このことを弁えるだけでも、人の生き方は変わります。