おはようございます。ラジオ牧師の山下正雄です。
「目には目、歯には歯」という言葉があります。ハムラビ法典や旧約聖書に出てくる言葉です(出エジプト21:24、レビ24:20、申命記19:21参照)。専門的な用語では、「同害報復」と呼ばれています。同じ害を相手に与えて、報復するという意味です。
そこには、二つの理念があります。一つは、報復は法によって保証される権利であるということ、もう一つは、報復には限度があるということです。つまり、受けた被害以上の報復は許されないということです。この考えは、文字通りにではありませんが、現代の法の考えにも影響を与えています。
しかし、イエス・キリストはおっしゃいます。「だれかがあなたの右の頬を打つなら、左の頬をも向けなさい。」キリストがここでおっしゃろうとしているのは、法律の問題ではありません。イエス・キリストの関心は、憎しみあう人の心に向かっています。憎しみあう心を克服しない限り、真の意味での正義も公平も実現しないからです。
このキリストの言葉を実行するのは、難しいでしょう。ただ、与えても尽きることがない、神の恵みの豊かさを少しでも知って生きるなら、憎しみを克服して生きる道に、一歩近づくことができるのです。
きょうのみ言葉「悪人に手向かってはならない。だれかがあなたの右の頬を打つなら、左の頬をも向けなさい。」マタイによる福音書5章39節