坂尾連太郎（南与力町教会牧師）

メッセージ： 父・御子・聖霊による霊的祝福

【高知放送】
　　　　　

【南海放送】
　　　　　

　おはようございます。南与力町教会の坂尾連太郎です。
　今朝は、パウロが記したエフェソの信徒への手紙から御言葉に聞きたいと思います。パウロはこの手紙の1章で、挨拶を記した後、神様をほめたたえる言葉を書き始めます。1章3節前半「わたしたちの主イエス・キリストの父である神は、ほめたたえられますように。」

　パウロがこの手紙を書いた時、彼は牢獄に捕らわれていました。6章20節で「わたしはこの福音の使者として鎖につながれています」と語られている通りです。この世的に見れば、パウロは決して、幸福な状態ではありませんでした。むしろ、囚人として苦しみを受けていたのです。しかし、それにも関わらず、パウロは神様をほめたたえています。なぜでしょうか。それは神様が、「わたしたちをキリストにおいて、天のあらゆる霊的な祝福で満たして」（エフェソ1:3）くださったからです。「天のあらゆる霊的な祝福」とは、地上的、物質的な祝福とは異なります。

　では、「天のあらゆる霊的な祝福」とは一体どういうものでしょうか。パウロは、そのことを続く1章の4節から14節で語っていきます。そこでは、多くのことが豊かに語られていますが、大まかに三つのことが語られております。第一は、父なる神様の選びです。1章4節「天地創造の前に、神はわたしたちを愛して、御自分の前で聖なる者、汚れのない者にしようと、キリストにおいてお選びになりました。」私たちが、イエス・キリストを信じ、聖なる者とされ、神の子とされたのは、実は神様が、天地創造の前に、私たちをキリストにおいて選んでくださっていたからなのです。それは、私たちには計り知ることのできない、深い神様の愛による一方的で無条件の選びです。

　第二のことは、御子イエス・キリストによる贖いの恵みです。1章7節「わたしたちはこの御子において、その血によって贖われ、罪を赦されました。これは、神の豊かな恵みによるものです。」神の御子イエス・キリストの血という、尊い代価が支払われたことによって、罪の奴隷状態にあった私たちは、贖われ、解放されました。神のものとして買い戻されたのです。私たちは今既に、御子イエス・キリストにおいて、罪の赦しを得ています。それは、私たちの行いや功績によるのではなく、神様の豊かな恵みによるものです。

　第三に、聖霊の証印について語られています。1章13節「あなたがたもまた、キリストにおいて、真理の言葉、救いをもたらす福音を聞き、そして信じて、約束された聖霊で証印を押されたのです。」ここで「あなたがた」と言われているのは、異邦人キリスト者のことです。ユダヤ人だけでなく、異邦人である私たちも、キリストにおいて、真理の言葉、すなわち、私たち異邦人をも救う福音を聞きました。そして、それを信じた私たちに、神様は聖霊によって証印を押してくださったのです。

　「証印を押す」というのは、それが正真正銘、自分のものであることを保証する、という意味があります。私たちも重要な書類には、印鑑を押すのだと思います。それが確かに自分のものであることを保証するためです。神様は福音を聞いて信じた私たちにも、御自分の聖霊によって印鑑を押し、確かに、私たちが神のものであるという保証を与えてくださったのです。

　そして続く1章14節では、次のように言われています。「この聖霊は、わたしたちが御国を受け継ぐための保証であり、こうして、わたしたちは贖われて神のものとなり、神の栄光をたたえることになるのです。」聖霊は、私たちに押された証印であると同時に、「わたしたちが御国を受け継ぐための保証」でもあります。この「保証」と訳されている言葉は、手付金、保証金という意味があります。契約を結ぶ際、その契約を実行することを保証するために、前もって、手付金、保証金を支払うことがあります。私たちと契約を結んでくださった神様は、約束通り、私たちに御国を受け継がせることの保証金として、聖霊を前もって私たちに与えてくださったのです。

　私たちは、今はまだ、神の御国を受け継いでいるわけではありません。キリストを信じる者はすでに、キリストの血によって贖われ、神のものとされていますけれども、体を含めて完全に贖われ、神の国に入るのは将来のことです。私たちはこの地上、この肉体にあってなお、苦しみを味わわなければなりません。

　しかし、これまで見てきたように、神様はすでに私たちに「天のあらゆる霊的な祝福」を与えてくださいました。それは、父なる神様による選び、御子イエス・キリストによる罪の赦し、そして、聖霊による御国を受け継ぐ保証です。そして、神様がこのような豊かな祝福を私たちに与えてくださったのは、私たちが地上でも、天上でも、神様のご栄光をほめたたえるためなのです。ですから私たちは、どのようなときにも、感謝と希望をもって、神様をほめたたえていきたいと思います。