申成日（広島教会牧師）

メッセージ： イエスのたとえ話7「ぶどう園の労働者のたとえ」

【高知放送】
　　　　　

【南海放送】
　　　　　

　おはようございます。広島教会の申成日（シン　ソンイル）です。新しい年を迎えていろいろと将来の希望を持ちながらこの頃を過ごされると思います。何よりも、ほぼ2年間いろいろとできなかったことが、これからはもっとできるようになったらいいなと思います。さて、今日のたとえ話ですが、今日は仕事に関する話です（マタイ20:1-16参照）。

　ある家の主人が、自分が持っているぶどう園で働く労働者を雇うために朝早く広場に出て行きました。その広場には仕事を待つ多くの労働者が集まっていました。ぶどう園の主人は、1日の賃金に当たる1デナリオンを差し上げる条件で労働者を雇い連れて行きました。また主人が、朝9時になって広場に出て行くと、何もしないで広場に立っている人々がいたので、彼らにも声をかけて「相応しい賃金をあげる」という条件で、労働者を雇いました。ところが、主人はまた正午と、午後3時にも出かけて、広場で仕事を待っている人々を雇いました。最後に、主人が午後5時ごろに、もう一度広場に出てみると、まだ仕事がなくて立っている人がいたので、「あなたたちもぶどう園に行きなさい」と言って、彼らを雇いました。

　夕方になりました。おそらく午後6時頃だと思います。日が暮れてこれ以上仕事をすることができませんので、主人は監督に「労働者たちを呼んで、最後に来た者から始めて、最初に来た者まで順に賃金を払ってやりなさい。」と命じました。そこで監督は主人に言われた通り、午後5時に雇われた人たちから順に1日の賃金に当たる1デナリオンを差し上げました。それを見ていた一番最初に雇われた人々は、自分たちはもっと多くもらえると思いましたが、彼らにも同じく1デナリオンが支給されました。それに彼らは不満を言い出しました。「最後に来たこの連中は、1時間しか働きませんでした。まる1日、暑い中を辛抱して働いたわたしたちと、この連中とを同じ扱いにするとは。」

　しかし、主人は「友よ、あなたに不当なことはしていない。あなたはわたしと1デナリオンの約束をしたではないか。自分の分を受け取って帰りなさい。わたしはこの最後の者にも、あなたと同じように支払ってやりたいのだ。自分のものを自分のしたいようにしては、いけないか。それとも、わたしの気前のよさをねたむのか。」と言ったのです。

　たとえ話はここで終わります。皆さんはどう思いますか。ぶどう園の主人は不公平だと思いますか。あるいは、正しいことを行ったと思いますか。もし、皆さんが最初に雇われた人ならばどう思いますか？

　実は、この話も先週に続き、神の国、天国についてのたとえ話です。イエスはこのたとえ話を通して、天国は自分の努力で入れるところではなく、神様の恵みで入るところであることを語ろうとしています。最初に雇われた人は、1デナリオンをもらって感謝することはありません。自分が働いた分をもらったと思うし、もっともらえるべきだと思っていました。そこには主人に対して何の恩も感じていません。しかし、その後から雇われた人々は遅く雇われた人であればあるほど、1デナリオンがどれだけ大きな恵みなのか、もっと感じるようになります。なぜなら自分が働いた分以上の賃金を頂いたからです。

　天国に行くことは、自分でいろいろ宗教的な修行を積み重ねなければ入ることができないというのではなく、神様が教えてくださった恵みの道、つまり労働者がぶどう園の仕事にただ応じるだけで日当の賃金をもらったように、イエス・キリストを信じれば、それだけで神の恵みによって入ることです。リスナー皆さんも、この神様の声掛けに、ただ応じるだけで天国に行くことができる、この恵みに与かれるようにお祈りいたします。