ご機嫌いかがですか。日本キリスト改革派教会がお送りする「聖書を開こう」の時間です。今週もご一緒に聖書のみことばを味わいましょう。この時間は、日本キリスト改革派教会牧師の山下正雄が担当いたします。どうぞよろしくお願いします。
アイドルグループの欅坂46(2020年10月「櫻坂46」に改名)の歌に『サイレントマジョリティ』という曲があります。その歌詞に「どこかの国の大統領が 言っていた(曲解して)、声を上げない者たちは 賛成していると…」というくだりが出てきます。
サイレント・マジョリティという言葉は、ベトナム戦争時代のニクソン大統領が、反対の声を上げない大多数の大衆は、自分の意見に賛成しているという意味で使った言葉だと言われています。もちろん、沈黙にはいろいろの意味が込められているはずですが、為政者には都合よく受け取られてしまうものです。
きょう取り上げる個所には、王妃エステルに対して声を上げるように迫るモルデカイの話が登場します。その言葉に促されて決断するエステルの姿は、『エステル記』の中で最も感動的な場面の一つです。
それでは早速きょうの聖書の個所をお読みしましょう。きょうの聖書の個所は旧約聖書 エステル記 4章1節〜17節までです。新共同訳聖書でお読みいたします。
前回学んだ個所では、ペルシア帝国内に住むユダヤ人撲滅の勅書が発布されたことを学びました。それを知ったユダヤ人たちの間に衝撃が走ったことは言うまでもありません。とりわけ、事の一部始終を知ったモルデカイにとっては、あまりにもひどい仕打ちでした。モルデカイは事の一部始終を知ると、衣服を裂き、粗布をまとって灰をかぶり、都の中に出て行き、苦悩に満ちた叫び声をあげた。更に彼は王宮の門の前まで来たが、粗布をまとって門に入ることは禁じられていた。勅書が届いた所では、どの州でもユダヤ人の間に大きな嘆きが起こった。多くの者が粗布をまとい、灰の中に座って断食し、涙を流し、悲嘆にくれた。女官と宦官が来て、このことを王妃エステルに告げたので、彼女は非常に驚き、粗布を脱がせようとしてモルデカイに衣服を届けた。しかし、モルデカイはそれを受け取ろうとしなかった。そこでエステルはハタクを呼んでモルデカイのもとに遣わし、何事があったのか、なぜこのようなことをするのかを知ろうとした。ハタクは王に仕える宦官で、王妃のもとに遣わされて彼女に仕えていた。ハタクは王宮の門の前の広場にいるモルデカイのもとに行った。モルデカイは事の一部始終、すなわちユダヤ人を絶滅して銀貨を国庫に払い込む、とハマンが言ったことについて詳しく語った。彼はスサで公示されたユダヤ人絶滅の触れ書きの写しを託し、これをエステルに見せて説明するように頼んだ。同時に、彼女自身が王のもとに行って、自分の民族のために寛大な処置を求め、嘆願するように伝言させた。ハタクは戻ってモルデカイの言葉をエステルに伝えた。エステルはまたモルデカイへの返事をハタクにゆだねた。「この国の役人と国民のだれもがよく知っているとおり、王宮の内庭におられる王に、召し出されずに近づく者は、男であれ女であれ死刑に処せられる、と法律の1条に定められております。ただ、王が金の笏を差し伸べられる場合にのみ、その者は死を免れます。30日このかた私にはお召しがなく、王のもとには参っておりません。」エステルの返事がモルデカイに伝えられると、モルデカイは再びエステルに言い送った。「他のユダヤ人はどうであれ、自分は王宮にいて無事だと考えてはいけない。この時にあたってあなたが口を閉ざしているなら、ユダヤ人の解放と救済は他のところから起こり、あなた自身と父の家は滅ぼされるにちがいない。この時のためにこそ、あなたは王妃の位にまで達したのではないか。」エステルはモルデカイに返事を送った。「早速、スサにいるすべてのユダヤ人を集め、私のために三日三晩断食し、飲食を一切断ってください。私も女官たちと共に、同じように断食いたします。このようにしてから、定めに反することではありますが、私は王のもとに参ります。このために死ななければならないのでしたら、死ぬ覚悟でおります。」そこでモルデカイは立ち去り、すべてエステルに頼まれたとおりにした。