キリストへの時間 2021年10月24日(日)放送  キリストへの時間宛のメールはこちらのフォームから送信ください

大宮季三(芸陽教会牧師)

大宮季三(芸陽教会牧師)

メッセージ: 神が満たす承認欲求

【高知放送】
     

【南海放送】
     

 おはようございます。芸陽教会の大宮季三です。
 今年、話題になった本で『スマホ脳』(アンデシュ・ハンセン、新潮文庫)という本があります。この本は、スマートフォンを使うことによってもたらされる依存症や悪影響について精神科医が述べている本です。

 この本で述べられていることは「スマホをずっと使っていると目が悪くなる」という程度のものではありません。スマホに依存すると、集中力が低下し、孤独感が強まり、心の不調すら招くことがあると言われます。無意識にスマホを手に取っていることが少なくない私も、気をつけなければならないと思わされました。

 おもしろいことに、スマホを発明したスティーブ・ジョブズやWindowsの開発者であるビル・ゲイツは、自分の子どもには厳しくスマホやタブレットの使用を制限していたそうです。彼らはそれらのスペシャリストであるがゆえに、その悪影響をも理解していたそうです。

 スマホに依存する一つの大きな原因は、人間が抱えている「承認欲求」という思考と関係するそうです。自分が承認されているかどうかをいつも気にさせる、それがスマホの持っている大きな力だということです。自分が送ったメールやLINEに対して返信が来ていないか気になり、自分がSNSで投稿したコメントや写真に対して、反応がないかと気になり、スマホがそばに置いてあるだけで集中力を失わせ、作業効率を落とさせるそうです。今ラジオをお聞きになっている皆さんの中でも、思い当たる方が少なくないのではないかと思います。
 
 人間は、自分の存在や価値を認めてもらうことに喜びを見いだします。反対に自分が無視されることには大きな痛みを伴います。スマホは、自分を承認してくれる「承認欲求」を満たしてくれる可能性があるものです。それゆえ、人はどんどんスマホに依存してしまう恐れがあるようです。

 さて、聖書は「イエス・キリストを信じる信仰によって神の前に義と認められる」と語ります。イエス・キリストを信じることによって「神の前に正しい者とされる」、ですから、神の国に永遠の命が、神の国に永遠に生きる命が与えられます。イエス・キリストを信じることによって、神が私という存在を、完全に承認してくださる、これが聖書の指し示す福音です。
 
 「炎上」という言葉があります。インターネットなどでの一つの失言が原因となり、あらゆる批判にさらされることです。仲間同士であっても一つの発言によって、人間関係が崩れてしまうことがあります。今は小学生でもスマホを持っている、そんな時代です。周りの人にどう思われるか、子どもの時からそのことに神経を尖らせて心は疲れ果ててしまいます。人間の評価は1日で変わります。オリンピックでメダルをとれば、親戚や友人が1日で増えます。ですが反対に一つの失言によって、1日で多くの人たちが周りから去っていってしまうようなことが実際に起きています。
 
 人間は、真の神に造られました。だからこそ、人間が求めている「承認欲求」は神に向かうものです。神から認められることにこそ、人間には安らぎがあります。「承認欲求」を満たすことのできる存在はスマホではありません。本当の意味で承認欲求を満たすことができるのは、真の神のほかに存在しません。

 イエス・キリストの十字架という犠牲によって、この方を自分の救い主とすることで、人間は神の目に完全に義とされます。完全に承認されます。ここに、揺るぎない平安があり、人間の評価に怯えながら生きる生活からの解放があります。



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