いかがお過ごしでしょうか。せんげん台教会牧師の川栄智章です。
シリアにあるアンティオキア教会において、異邦人と自由に食事の交わりをとっていたペトロは、ある日を境にその交わりから後ずさりし、離れていくようになりました。というのは、ユダヤ人クリスチャンが異邦人と楽しく交わることを喜ばない、熱心なユダヤ人たちがいたからです。彼らは「異邦人と交わってはならない」という律法を破ったという理由で、エルサレムのクリスチャンを迫害していました。熱心なユダヤ人は民族主義的な傾向にいよいよ傾いていき、今こそ律法に堅く立って異邦人との関係を断絶しなければならない、と考えていました。
この、ペトロの行動に正面から反対したのがパウロです。「あなたはユダヤ人でありながら、ユダヤ人らしい生き方をしないで、異邦人のように生活しているのに、どうして異邦人にユダヤ人のように生活することを強要するのですか。」(ガラテヤ2:14)本人は自覚していませんでしたが、ペトロの行動には、異邦人が救いを受けるためには割礼を受けてユダヤ人にならなければならないというメッセージが含まれていたのです。
熱心なユダヤ人の圧力と要求に、安易に和合しようとしてしまい、結果的に恵みの福音を歪曲してしまいました。使徒ペトロでさえこのような失敗をしたのであれば、なおさら、私たちも人を喜ばせようと和合する時、どれほど慎重でなければならないのか理解することができるのです。