おはようございます。高知県香美市土佐山田町にある山田教会の牧師をしております、高内信嗣と申します。どうぞよろしくお願いいたします。お近くに来られた時はぜひ、山田教会にお立ち寄りください。
さて、「エモい」という言葉を聞かれたことがあるでしょうか。よくわからないですよね。私も最初に聞いたとき、全く意味が分かりませんでした。「エモい」という言葉は、「感情が動いたこと」などを表現する造語で、インターネット上で非常によく目にする言葉です。由来は、感情的・情緒的などを意味する英語「emotional(エモーショナル)」を略したものです。つまり「感情が動かされた」「情緒のある」「切ない」「感情に強く訴えかける」といった意味で使われています。新しい造語なので、厳密な意味が定まっていません。「この前、発売されたあの曲、エモい!」「この写真、幻想的でエモい。」「この前見た夕焼け、なんだかしんみりしてエモい。」などなど。いろんな場面で使える便利な言葉として、若者に広く用いられています。
さて、聖書は神様の言葉ですが、同時に人間が記した言葉でもあります。聖書には詩編という書物がありますが、この詩編は、人間が神様のことを思い巡らしながら記した詩がまとめられています。その詩編の中の一つに次のような言葉があります。「あなたの天を、あなたの指の業を、わたしは仰ぎます。月も、星も、あなたが配置なさったもの。」(8:4)
この詩を書いた作者は、神様が造られた世界を見て感動をしているのです。「月」「星」と言われていますので、おそらく作者は、夜、空を見上げ、感動してこの詩を書いたのではないかと考えられています。
数年前、私は友達と晴れた夜に、丘にブルーシートを敷き、大の字に寝転がって星を眺めたことがあります。夜空一面に広がる星は本当に美しく、何とも言えない感情的な気分になりました。日本はコンビニなど24時間営業のお店が多くあり、夜中もいたる所で灯りがともされているので、とても夜が明るい国だと言われています。それでも私が見た星はとても綺麗でした。
この詩編は2000年以上前の作品です。夜は本当に真っ暗だったことでしょう。そんな暗闇の中で見た星空や月は、本当に美しかったのだと思います。そして美しい月や星をお造りになった神様は本当に素晴らしいお方だと、感動をしているのです。まさに、現代的に言うならば、「神様が造られた月や星はエモい!」と、この人は言っているのです。
さらにこの詩編の作者は言います。「そのあなたが御心に留めてくださるとは、人間は何ものなのでしょう。人の子は何ものなのでしょう、あなたが顧みてくださるとは。」(8:5)
とても美しい月や星をお造りになった神様が、人間を心に留めておられる。そんな人間とはいったい何者なのか。こういう問いを彼はたてたのです。そして結論が出ます。彼は言います。「神にわずかに劣るものとして人を造り、なお、栄光と威光を冠としていただかせ、御手によって造られたものをすべて治めるように、その足元に置かれました。」(8:6-7)
彼がたどり着いた結論は、「人間は神にわずかに劣る者」だということです。人間は偉大な神様のかたちにかたどられた素晴らしい存在であるということです。神様がお造りになった作品の最高傑作なのです。私たちは神様に愛され、神様に丁寧にかたどられた大切な存在なんです。私たちは自分の存在を誇っていいんです。「人間とは何か」という問いの結論にいたるとき、私たちは自分の存在を「エモい!」と言っていいのです。神様がお造りになった星、月、そして人間は本当に素晴らしい!そして本当にエモいのです!