キリストへの時間 2019年8月25日(日)放送  キリストへの時間宛のメールはこちらのフォームから送信ください

山下正雄(ラジオ牧師)

山下正雄(ラジオ牧師)

メッセージ: 救いの約束



 おはようございます。ラジオ牧師の山下正雄です。
 今月は、旧約聖書の『創世記』から人間が罪に堕落した話を取り上げてきました。日曜日の朝からずっとそんな話を聞かされて、暗い気持ちになってしまったかもしれません。しかし、聖書がこのことを隠さずに語っているのは、救いの確かな約束が聖書にはあるからです。聖書の神が自ら立ち上がって、この問題を解決してくださいます。聖書全体はその希望を語る書物です。

 さて、人間の堕落を記した創世記3章は、全体的に暗いトーンが支配しています。しかし、注意して読むときに、キラリと輝く希望をそこに読み取ることができます。まず注目したいのは、3章15節に記された蛇に対する神の審判の言葉です。その言葉自体は蛇に対して語られた言葉ですが、そこには人類の希望にも触れられています。こう記されています。「お前と女、お前の子孫と女の子孫の間に、わたしは敵意を置く。彼はお前の頭を砕き、お前は彼のかかとを砕く。」

 これは、何故女性が蛇を嫌悪するようになったかを説明する、単なる神話ではありません。同じ聖書の中にある『ヨハネの黙示録』には、この蛇がサタンであったと明かされます(20:2参照)。誘惑者であるサタンと人間との間に、神が敵意を置いてくださったという話です。敵対した者同士ですから、そこには絶えず戦いが生じる可能性があります。しかもそれは、アダムとエバ一代限りの戦いではありません。子孫にまで影響する戦いです。

 けれども、その戦いは決して互角の戦いではない、と描かれています。サタンが挑めることは、せいぜい人間のかかとを砕くくらいのことです。決して致命傷ではありません。それに対して、女の子孫がサタンに与える打撃は、頭を砕くほどのものです。つまりサタンと人間との敵対関係は、いつか女の子孫から出た何者かによって、完全な勝利へと導かれるという約束です。

 その勝利者が誰なのか、この個所ではそれ以上詳しくは語られません。しかし、その人物が誰であるのか、聖書はだんだんと明らかにしていきます。この約束はアダムとエバからノアヘ、ノアからアブラハムへ、アブラハムからイサク、ヤコブへ。ヤコブからユダへ。そして、ユダの家系からダビデ王が生まれ、このダビデの子孫に救い主イエス・キリストが誕生します。このお方こそ、サタンの頭を打ち砕くお方です。

 もちろん、アダムにもエバにも、何千年も後に現れるイエス・キリストのことなどわかるはずもありません。しかし、彼らが確実に理解できたことは、サタンとの対決で、女の子孫から出た一人の人物が重要な役割を担うということです。ここに神の救いのご計画と期待がはっきりと語られています。

 創世記3章に示されたキラリと輝く言葉は、それだけではありません。とって食べれば必ず死ぬ、と言われた禁断の木の実を食べたエバに「すべての命あるものの母」となることを許されたということです(創世記3:20参照)。聖書の神は、罪を犯したエバに、破滅を宣言されたのではありません。命の母となって、生まれてくる子孫の中から、やがて一人の勝利者が出現する道を備えてくださったのです。

 しかも、神はこの二人に、皮の衣を作って着せたとあります。聖書が語る罪を犯した人間の話は、決して裁きに終わる話ではありません。救いの約束と人間に対する神の保護が語られているのです。信じる者にとって聖書は滅びの書物ではありません。救いの書物なのです。



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