
山下 正雄(ラジオ牧師)
メッセージ:孤独を抱える社会で
【高知放送】
【南海放送】
おはようございます。あなたの心の健康を応援する山下正雄です。
孤独を感じるのは、あまりうれしいことではありません。しかし、誰もが一度は、「孤独」を経験したことがあるのではないかと思います。
「いや、家族も友人もいるし、孤独なんて関係ない」と思う方もいるかもしれません。しかし実際には、多くの人が、心の奥で孤独を抱えています。たとえ周りに人がいても、心の深い部分を分かち合えない寂しさがあります。最近は、SNSで、多くの人とつながっていることができますが、画面越しの「いいね」や短いコメントが、本当の孤独を癒すわけではない、と感じる人も多いのではないでしょうか。
厚生労働省の調査によると、日本人の中で「孤独を感じる」と答えた人は、年々増えているそうです。特に、若い世代でも、孤独を強く感じている人が少なくありません。孤独は、高齢者の問題だけではなく、社会全体に広がる現実です。
では、この孤独をどう乗り越えることができるのでしょうか。友達を増やす、趣味を持つ、ボランティアに参加する…それも大切な方法です。しかし、人とのつながりだけでは埋めきれない孤独もあります。誰にも打ち明けられない心の痛みや、不安や後悔は、どんなに人がそばにいても、消えないことがあります。
聖書には、こういう言葉があります。「わたしは、決してあなたから離れず、決してあなたを置き去りにはしない」(ヘブライ13:5)。これは、神が人に語りかけておられる言葉です。たとえ人とのつながりが弱くなっても、神ご自身が「決してあなたを置き去りにはしない」と約束してくださるこの言葉を、心に受けとめるとき、孤独の中にも支えを感じることができます。
イエス・キリストもまた、孤独を経験されたお方です。聖書によれば、イエスは、捕らえられたとき、弟子たちに見捨てられ、一人ぼっちになりました。そして十字架の上で、「わが神、わが神、なぜわたしをお見捨てになったのですか」(マタイ27:46)と叫ばれました。人間としての究極の孤独を味わわれたお方です。だからこそ、私たちの孤独を理解し、寄り添うことができるお方です。
私も、孤独を感じるときがあります。夜中に目が覚め、誰にも話せない不安が押し寄せることがあります。そんなときに思い出すのは、この聖書の言葉です。「決してあなたを置き去りにはしない」。その約束に励まされると、孤独が完全に消えるわけではありませんが、心の奥に小さな安心感が芽生えます。まるで真っ暗な夜に、小さな灯りがともるようです。
孤独をなくすことは、簡単ではありません。しかし、孤独を抱えながらも、その中に希望を見いだすことはできます。もしあなたが今、孤独を抱えているなら、自分を責める必要はありません。誰もが孤独を抱えることがあるからです。そのとき、神の「決してあなたを置き去りにはしない」という言葉を、思い出してみてください。その言葉は、あなたの孤独に寄り添い、支えてくれる力になります。
私たちは皆、それぞれの人生を一人で歩んでいるように見えます。しかし聖書は、私たちの歩みに常に寄り添ってくださる神がいることを伝えています。その神の存在を知るとき、孤独の中にも、確かな希望を持って歩むことができます。
どうか今日、あなたの心にも、この神の約束が届きますように。孤独を抱えているあなたと共に、神がいてくださいます。
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