キリストへの時間

信仰による新しい出発

放送日
2025年3月9日(日)
お話し
久保浩文(松山教会牧師)

久保浩文(松山教会牧師)

メッセージ:信仰による新しい出発

【高知放送】

【南海放送】

 おはようございます。愛媛県松山市にある松山教会牧師の久保浩文です。
 私達は、誰しもが充実した人生を送りたいと願っています。しかし人の一生、人生行路は、決して平坦ではありません。人生は、山あり谷ありです。自分の理想や計画していたとおりにはならず、予想だにしていない事柄に遭遇し、進路を変更せざるを得ない時もあります。

 アブラハムという人は、75歳になり、残された余生を平穏無事に過ごそうと考えていたその矢先に、人生の一大転機を迎えました。主なる神が、アブラハムに現れたのです。アブラハムは、神に選ばれ、神を信じる者とされました。神はアブラハムに、「あなたは生まれ故郷 父の家を離れて わたしが示す地に行きなさい。」(創世記12:1)と言われました。この言葉に従い、アブラハムは、長年住み慣れた土地を離れて、神が示される土地に移り住むことを決意します。

 自分の生まれ故郷、父の家を離れるということは、ただ住み慣れた家や土地を離れるというだけでなく、これまでに築いてきた人間関係や馴染んできた生活環境の全てを捨て去ることです。アブラハムは、神が示された土地がどのような所なのか、全く知りませんでした。新しい土地での生活が、どのようなものかも想像もつきません。多くの人が、高齢になってからの急激な生活環境の変化を好みません。未知の土地での新しい生活に慣れるためには、多くの気力と労力を求められるので、躊躇する方が多いのも事実です。

 しかし、アブラハムは、神と神の言葉を信じ、人生の後半生に入ってから、新しい第二の人生を歩み始めました。彼はこれまで、自分自身の考えや計画で生活設計をしてきました。神を信じて、彼の人生観、価値観の全てが、神中心のものへと変えられました。彼の人生のすべて、生活のあらゆる場面で、神の言葉によって示された道を選択するようになりました。

 「神と共に歩む人生」は、アブラハムにとって決して悠々自適なものではありませんでした。むしろ彼にとっては、苦難の連続でした。神によって与えられると約束されていた子どもは、なかなか与えられず、すでに老齢に達していたアブラハム夫婦にとって、神の約束を信じることの困難さと忍耐を経験することになりました。

 しかし彼は、希望するすべもなかった時に、なおも望みを抱いて信じ続けたのです。それは、「神は約束したことを実現させる力も、お持ちの方だと、確信していた」(ローマ4:21)からです。そして神は、アブラハム夫妻に約束の子どもをお与えになりました。100歳と90歳の老夫妻に、人知を超えた神の働きによって、息子イサクが与えられたのです。

 彼らのその後の人生においても、神は、アブラハムを導き、窮地に陥った時でも、何時も解決の道を示され、神を信じて従うことの素晴らしさを体験させられました。アブラハムの生涯は、175年でした。彼は人生を通して、神の約束の確かさと恵みの豊かさ、スケールの大きさを知りました。

 アブラハムは、この地上において、生涯の大半を流浪の民として歩み、妻サラを葬るために買い求めた土地以外は、自分の地所を持つことはありませんでした。しかし神は、それよりも素晴らしい天の故郷を、彼のために用意しておられました。彼にとって、神と共に歩む人生こそが最大の祝福であることを知り、満ち足りて、神の御許である天の故郷に帰って行ったのです。

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