10月15日(水) コヘレト6章
これまでに存在したものは
すべて、名前を与えられている。
人間とは何ものなのかも知られている。
自分より強いものを訴えることはできない。
日本聖書協会『聖書 新共同訳』コヘレトの言葉6章10節
太陽の下で人間を大きく支配している不幸は「死」です。人間には永遠を思う心が与えられていても(3章11節)、永遠に生きるのは神だけです。人の短い日々を思い巡らせば、地上で得た富も財産も名誉も家族もすべては死という終わりが奪います。
この世で与えられている私たちの命には限界があり、「人は、裸で母の胎を出たように、裸で帰る」(5章14節)定めにあります。しかし、そうした命を私たちに与えた神は、私たち一人ひとりの名を呼び、この世での働きを与えて、私たちの行く道をも定めておられる御方です。
人の欲望は果てしなく満足を求めて自分の幸福を追求しますが、死の向こう側で何が待っているかを知る者は「太陽の下にはいない」のであって、神だけがご存じです。コヘレトは現世利益を追求するのが知恵だと言うのではなくて、神を越える知識を求めたり、神が与える以上の幸福を願ったりすることの空しさを説いています。それは聖書が教える知恵である「神を畏れること」に始まり、罪と死から逃れられないでいる自分という人間を知る信仰の道です。
神は、私たちの「短く空しい人生の日々」を、主イエスと共に歩む「短くても空しくない喜びの日々」に変えてくださいました。神を信頼することこそ神が人に与えた知恵でしょう。
【祈り】
生涯の終りに主イエスとお会いすることを心から待ち望みます。