あさのことば

続・旧約聖書の女性たち サムエルの母ハンナ

放送日
2025年3月20日(木)
お話し
牧野信成(長野まきば教会)

牧野信成(長野まきば教会)

メッセージ:続・旧約聖書の女性たち サムエルの母ハンナ


 おはようございます。長野まきば教会の牧野信成です。
 今日は、預言者サムエルの母「ハンナ」について話しましょう。

 シロの聖所で毎年行われる礼拝において、ハンナの苦しみは極まりました。当時の礼拝は、神殿の祭司に犠牲の動物を渡し、残りのものを家族でいただく、食卓を囲む儀式です。子どもの分まで受け取るペニナは、夫の愛情がハンナに傾いていることへの嫉妬も手伝ってか、自分の取り分しかもらえないハンナに、嫌味の一つでも言ったのでしょう。

 夫は、泣いて食事もしないハンナを慰めようと、精一杯の愛情を表します。けれども、夫の慰めもむなしく、ハンナの苦しみは解消されませんでした。その苦しみを取り去ることができるのは、彼女の胎を閉ざしておられる神より他になかったからです。それでハンナは、自分の苦しみを神の御前にもってゆきます(サムエル上1:1-11参照)。

 「苦しいときの神頼み」は、ある意味で、祈りの本質をついています。苦しいときにしか神に頼まないのであれば、不信仰でしょうけれども、苦しいときにこそ、ハンナのように、神にすべてをぶちまけることが許されている、というのが、祈りの恵みです。

 ハンナのような状況で、「主の御前」という逃れ場がなかったとしたら、彼女は、その怒りや悔しさをどこへもっていったらよいのでしょうか。周囲に怒りをぶちまけて、自分をそんな運命に晒した神を呪って、自暴自棄になる他はないかもしれません。しかし、ハンナがそうならなかったのは、その激しい感情をも、あらいざらい神にささげたからです。

 率直な思いをイエスにぶつけられるか。信仰の試金石かもしれません。存在を疑っているような神に訴えかけるのは、難しいでしょう。

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