ウエストミンスター小教理問答の学び 第7問

第7問 聖定

問: 神の聖定とは何ですか。

答: 神の聖定とは、神のご意志の熟慮による永遠の決意です。これによって神は、御自身の栄光のために、すべての出来事をあらかじめ定めておられるのです。


 問4〜6で神様はどんな方かを学びました。続く問7〜11では神様のお働きについて総論的に学びます。神様は世界の歴史の計画者、世界の創造者、世界の支え主・導き手でいらっしゃる、ということが学びの全体です。

聖定とは


 聖定とは、この神様のお働きの出発点となる神様の永遠のご計画のことです。神様は世界におこる一切のことをご計画の内にあらかじめ定めておられるのです。

 このご計画によって神様は御自分の栄光を現わされます。神様の栄光とは、「神様のすばらしさ」と言い換えてもよいでしょう。歴史の中を生きている私たちは、醜いことや悲惨なことが自分自身と世界に起こる時に「神も仏もないものか」と叫びたくなるかも知れません。けれども、世の終りにこの世界の歴史が完成し、死後の世界までが明らかになる時に、この世界の歴史を計画された神様の素晴らしさが明らかになるのです。それは「知恵、力、聖、義、善(愛)、真実において無限」の方(問4)の素晴らしさです。そのような仕方で、私たちが自分の人生と世界の歴史の全体を喜びの内に肯定できる世の終りに向けて、神様は一切をご計画しておられるのです。

聖定を信じる理由


 世界の歴史も私たちの人生も「もしあの時が違っていたら、後のことはすっかり変わっていただろう」ということだらけです。ですから、どんな小さな事でも神様に予想外のことが起こるとするなら、神様は世界を完全に支配する方ではないことになります。全幅の信頼をおける神様がおられるということは、すべてのことをご計画のもとに置いていらっしゃるお方がおられるということなのです。

聖定についての疑問への答え


 聖定の教え(神様が世界におこる一切をあらかじめ定めておられる。という教え)に疑問を持つ人は多くいます。主な疑問に次のように答えたいと思います。

(1) 聖定は人間の自由と矛盾しませんか。
答: 神様は人間の自由を奪う仕方ではなく、人間の自由を用い、その自由意志の内に働く仕方でご計画を実行されます。
(2) 聖定の教えでは、悪(戦争、罪、悲惨)は神様の責任になりませんか。
答: 悪は人が堕落したためにこの世に入ってきました。人間の責任です。
(3) 人を堕落させないようにも、神様は出来たのではないでしょうか。
答:
A. 神様は人を機械仕掛けの人形に造らず、神様と愛の交わりができる自由な存在として造られました。人はその自由意志で堕落しました。しかも、それは神様の計画の中で起こったのです。このご計画について、神様に助言する権利を持つ人は誰もいないのです。

B. 神の計画(必然)と人間の責任(自由)の問題は、人間の理解を越えています。必然と自由の関係は、人間に理解不能な点があります。例えば、1人の殺人犯について、心理学者は殺人に至る必然性を調べ、検事は殺人犯の責任を調べます。必然なら責任は無いはずですが、人は人間の行動に必然の面と責任の面が同時にあることを合理的理解抜きで認めています。必然と自由の関係は謎なのです。

C. 神様のご計画の中心は、主イエス・キリストによる人間の救いです。今は謎でも、やがて歴史が完成して、死後をも含む神様の救いの計画の全貌が明らかになった時、私たちは、恵みの神様に対して、「万事は益でした」と告白できるのです。
 将棋名人の指し手の意味は初心者に理解できません。しかし、将棋が終わり名人が勝った時、すべての手の意味が明らかになります。まして、神様のご計画の意味は今すべてを理解できませんが、イエス・キリストによる救いが完成する歴史完成の日に、すべての事柄に意味があったことが明らかになるのです。
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