Rejoice 連携 カルヴィニズムる人たち #6 2019年6月1日放送

橋ノア(湘南恩寵教会長老)

橋ノア(湘南恩寵教会長老)




 左/「Anamnesis No.2」人体と風景の一対の写真からなる連作の一部
 右/プラチナ溶液を刷毛で和紙に塗布し、紫外線で露光をする古い印刷技法
「Anamnesis No.2」人体と風景の一対の写真からなる連作の一部   プラチナ溶液を刷毛で和紙に塗布し、紫外線で露光をする古い印刷技法



Q どのような活動をしておられるのですか

A 写真もいろいろですが、私はアナログで一般的な銀塩プリントではなく、主にプラチナプリントと呼ばれる19世紀の古典技法を用いて、様々なテーマで創作をしてきました。…と言いつつも、実はここ10年以上、本腰をいれた創作活動ができていません。会社経営の傍ら、オフィス兼アトリエで友人のアーティストとプリンターを自作したり、古い専用機材をかき集めたり、地道に創作準備を続けています。


Q 活動を始めるきっかけや原点は何でしたか

A 高校の時、下手だったデッサンの練習のためにカメラで静物を撮影し始め、そのうち写真という表現そのものに惹かれていったのが直接のきっかけです。紆余曲折を経て25歳でアメリカの美大に留学し写真を専攻、在学中から古典技法で有名なある写真作家に師事することができました。

 表現の原点は、自分の強い劣等感や焦燥感が根底にあると思います。私は小さい頃から学校に適応できず、不登校で、不安や焦りを常に心に留め込んでいた子供でした。父の影響で、中高からは美術・音楽・文学・映画、特に前衛的で思想性の強い表現世界にのめり込んでいきました。共感と居場所を求めて。そんな教会から心が離れかけていた当時、牧師が勧めてくれたカイパーの『カルヴィニズム』に衝撃を受け、信仰と創作(=生きること)への身勝手な偏見や自己矛盾から自由になるという経験をしました。それは、そもそも表現する自分は何者かを自問するきっかけとなり、神の赦しと愛が必要なひとりの人として、自覚的にキリストを求め始めた大切な原点です。

 それから、大学はニューヨークにあったのですが、5年間通ったRedeemer Presbyterian ChurchのArts Ministryで、ジャンルを越えた現役アーティストが信仰と表現について熱く議論を交わし、聖書を学び、祈る姿を目の当たりにし、創作によって神の栄光を現すとはどういうことなのかと問う、大きな刺激になりました。その経験は、クリスチャン・アーティストの支援組織”IBUKI”の発足に携わる上で、とても大きな力となりました。


Q どんな御言葉を大切にしていますか

A 「命の泉はあなたにあり/あなたの光に、わたしたちは光を見る」(詩36編10節)、「我は世の光なり」(ヨハ8章12節、文語訳)、この二つの御言葉は大切にしています。読むたびに、真っ暗な心にキリストの愛という一筋の光が差し込み、私という存在の輪郭が浮かび上がる、そのような感覚になります。写真は光の芸術とも言われます。特に色彩を排したモノクロームで撮影をしていると、光(と影)に対して感覚的にとても敏感になります。写真は物理的な光を用いますが、この御言葉に導かれ、写真をとおして神の恵みの象徴、救いとしての美しい「光」を意識させられるんです。


Q 活動をとおしてどんなことを目指しておられますか

A 現在は日々の仕事に追われているため、まずは環境や状況が整えられて、創作活動をリスタートしたいです。最終的な夢ですが、詩編150編の詩と、その詩から着想を得た写真を並べた写真集を作りたいと願っています。アナログにこだわりたいので、できれば紙も自分で手漉き、製本もすべて自作したいと。もう四十半ばで時は限られていますが、み心ならば何とか死ぬまでに完成させたいです。


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