これからお話しすることは本当のお話です。
何年も前に、私のお友だちのルディとトリーナに男の子の赤ちゃんが生まれ、ダニーと名付けました。
病院から家に帰った初めての晩、ダニーの哺乳瓶の乳首がなんだかおかしかったので、トリーナがルディに「下のキッチンに行って別のをとってきてくれない?」と言いました。
ルディは下に降りていき、お湯をわかして乳首を入れてバイ菌がいなくなるように煮沸し、トングで取り出して二階に持って行ったのですが、落としてしまいました。
もう一度下に降りていき、同じようにしました。「気をつけよう、もう落とさないように」とルディは自分に言い聞かせました。それなのに、またやってしまいました。
また下に降りて、もう一度同じようにしました。「ドジな僕、もうやるなよ」と自分に言い聞かせましたが、またしてもやってしまいました。
4度目に、ちゃんと持っていくことができて、ようやくダニーはミルクを飲むことができました。
最初の1週間、ダニーはママとパパを寝かせませんでした。毎晩毎晩、ダニーはママとパパを起こし続けたので、ふたりは疲れすぎて目を開けているのもやっとでした。
ふたりは、お祈りをすることにしました。「神さま、私たちはダニーをとても愛しています。ダニーを私たちのもとにくださり、感謝しています。でも彼は毎晩私たちを起こすので、私たちはとてもとても疲れています。ダニーを夜通し寝かせてください。私たちも休むことができるように。アーメン」
神さまは彼らの祈りを聞きました。
次の晩、ダニーは一度も起きずに眠り続けました。ルディとトリーナはどうしたと思いますか? 祈りを聞いてくださったことに感謝したでしょうか?
いいえ!
ふたりは顔を見合わせて言いました。
「ダニーは具合でも悪いのかしら? 夜通し眠ったことなんてないのに。どこか悪いのだとしたらどうしよう? ダニーを起こして大丈夫か確かめよう」
そしてかわいそうなダニーを起こしました。もちろん、ダニーはどこも悪くありませんでした。
どこか悪いのだとしたら、ダニーのママとパパのほうでした。2人は、神さまが祈りにこたえてくださることを信じていなかったのですから。
私たちは皆、ダニーのママとパパのようではないでしょうか?
私たちは、神さまにお祈りします。神さまは、私たちの祈りにこたえてくださいます。
でも、私たちはそのこたえを信じていないのです。
私たちがそんななので、神さまは私たちをへんだなと思っておられるでしょう。
私たちっておかしいですね!(訳:木川美来)