私は高知県でただ一つのミッションスクール、清和女子中高等学校の校長をしています、黒田と申します。私たちの学校では、毎朝生徒たちとチャペル(礼拝)を始めて、1日をスタートします。今日は皆さんにメッセージをお届けできることを嬉しく思っております。
2020年、東京オリンピック・パラリンピックの開催が決まり、今、中学生アスリートの出現が話題になっています。水泳でも卓球でも…小学生たちまでもが、「夢は何?」と聞かれると「オリンピック選手になること!」なんて、頼もしく答えます。すごいですよね。でも、オリンピック選手誕生の陰には、選手以上に心を燃やし、育て上げるコーチがいます。
私たちはオリンピック選手ではありませんが、それぞれの人生コースを走るランナーです。そして、あなたがあなたらしく、あなたの人生を完走できるようにといつも目を注ぎ、注意を払い、声かけをしてくれるコーチがいます。名コーチのイエス様です。
イエス様の弟子、キリストの弟子…と聞くと、素晴らしい信仰の持ち主だと思いますが、初めからそうだったわけじゃありません。私たちと同じただの人、彼らは名コーチイエス様によって育てられたのですね。選ばれた12人は色々でした。彼らは気づいていませんでしたが、コーチは彼らの弱さも、強さもちゃんと見抜いて、訓練のプランを立てて、育てていかれました。
最初にコーチが選んだ訓練は、神の国を宣べ伝え、病気を治すための二人一組の伝道旅行でした。イエスは仰いました。
「旅のために何も持って行かないようにしなさい。杖も、袋も、パンも、金も。また下着も、二枚は、いりません。どんな家に入っても、そこにとどまり、そこから次の旅に出かけなさい。」(ルカ9:3 参照)
「へぇ!それはないでしょう。出かけるのならそれなりの準備というものがあるでしょう。」と言いたくなりますよね。
しかし、彼らは出かけ、そして無事に帰ってきたのです。
それから3年、名コーチイエス様は弟子たちを、さまざまな訓練をお与えになりました。
あるときは男だけで5000人もの人々に「あなた方の手で食べ物をやりなさい。」別な時には、男だけで4000人が集まっていた時に、同じ訓練を繰り返されました。ガリラヤ湖で嵐にあった時、プロの漁師が4人もいるのに船が沈みそうになり、死ぬような思いをしたことがありました。ほどの思いをして助けられたことも2度起こります。そしてイエス様に助けられる、という訓練、それも2度起こりました。その他にも病気などいろいろでした。
弟子たちも私たちも同じです。その都度その都度、夢中になってやり繰りするわけですが、コーチのイエス様は違います。名コーチのイエス様は私たちの力をご存知で、どんな訓練を、いつすればよいか…分かってしてくださっています。
イエス様は弟子たちと3年ご一緒に過ごされ、いよいよ十字架を目の前にしたときに、弟子たちと最後の食事を済ませ、弟子たちに後のすべてを任せなければならない時を迎えて仰いました。
ルカの福音書22章35節に「わたしがあなたがたを、財布も旅行袋もくつも持たせずに旅に出したとき、何か足りないものがありましたか。」弟子たちは「いいえ。何もありませんでした。」(新改訳 参照)
と答えながらこの時、弟子たちは気がついたのです。あの最初に受けた伝道旅行の訓練は、この最後に自分たちに大切な使命を任せてくださるための準備だったのか…そうなんですね、私たちにはその時々には分からないことがあります。あってもいいのです。どうしてこんなことが、今私に?私たちには分かりません。でも私たちの名コーチのイエス様は分かっていて下さるんです。だから今日一日、与えられた一日をしっかりと受け止めて歩んでいきたい、と思います。
聖書のことば ヘブル書12章11節(新改訳)
「すべての懲らしめは、そのときは喜ばしいものではなく、かえって悲しく思われるものですが、後になると、これによって訓練された人々に平安な義の実を結ばせます。」