皆さん、ご機嫌いかがですか。私は高知県下ただ一つのミッションスクール、清和女子中高等学校で校長をしています、黒田朔です。
毎朝、全校礼拝を持って一日を始めていますが、このチャペルのお話が生徒たちの心に届くようにと願いながら話をしています。これからお届けするお話もそうです。聞いていただいているあなたのお役に立つようにと願っています。
誰でもがっかりし、がっくり来るっていう時があるものです。しかし、実はその時がチャンスだ、とするといかがですか。
イエスの選んだ12弟子の一人ペテロは、イスラエルの北の方にある小さな湖ガリラヤ湖で、魚を捕る漁師で、まだシモンと言う名で呼ばれていました。その彼が、その土地の漁師のやり方でいつも通り、徹夜で網を引いたんです。ところが、どうしたことか1匹も取れませんでした。
朝、がっかり、がっくりのシモンは、網の手入れをしていたところ、イエスに頼まれたのです。「大勢の人に話したいので、ちょっと舟を出してくれませんか」。他ならないイエス様の頼みなので言う通りにしました。話が終わると、イエスはさらに仰いました。「深みに漕ぎ出して、網を下ろして魚を取りなさい」。
あなたならどうします?湖を知り尽くしたプロの漁師が一番取れる、いや、取れるはずの方法で、徹夜で網を引いて1匹も取れず、がっかり、がっくりの中で、ようやく網繕いも終わり、これから帰って、ひと風呂浴びて、酒でも飲んで寝るか…、とそんなふうに思っていたかどうかはわかりませんが、そんな時のことです。
でもシモンはこう答えました。
「先生、私たちは夜通し働きましたが何一つとれませんでした。でも、お言葉通り、網をおろして見ましょう」。そして、その通りにすると、どうでしょう、何とたくさんの魚が入り、網は破れそうになったというのです。
シモンはびっくり、合図して助けを呼び、魚を上げたところ、2双の舟ともいっぱいになったというのです。もうがっかり、がっくりどころじゃありません。シモンは、驚きを通り越して恐ろしくなり、叫びました。
「主よ。私のような者から離れてください。私は、罪深い人間ですから。」
そんなシモンをイエスは招いておっしゃいました。
「こわがらなくてもよい。これから後、あなたは人間をとるようになるのです。」
その結果、つまりシモンは、がっかり、がっくりの最悪の徹夜明けがきっかけになって、ガリラヤの漁師シモンは、イエスの12弟子のリーダー、ペテロの人生を生きるようになりました。
ペテロは今も弟子たちの中で一番親しまれているキリストの弟子の一人です。その名前は、あのバチカンの大聖堂に、聖ペテロ大聖堂として記念されているばかりか、私の住んでいた近くには、スパゲッティ屋さんにまでペテロという名前がついていました。
こんな出来事から、2つのことを覚えて頂きたいと思います。
第一は、もし前の夜いつも通りに魚がとれていたら、こんなことは起こらなかったということです。最悪のがっかり、がっくりがあったからこそ、彼の人生は変わりました。
第二は、シモンは家に帰り風呂を浴びて寝ることもできたのです。しかし彼は、普通はそんなこと誰もしないことを、またしていないことを、イエスの言葉だからと言うことで、「お言葉通りにしましょう」と網を下ろしました。
私は思います。時には常識はずれを「イエスの言葉だから」と言う理由でやってみたらどうでしょう。その時、あなたも人生転換のチャンスをつかむことになると思うのです。
私たちもシモンがペテロに、人生転換をしたように、人生の切り替えチャンスを、がっかりがっくりの時に、掴んでいきたいと思います。
聖書の言葉
「先生。私たちは、夜通し働きましたが、何一つとれませんでした。でもおことばどおり、網をおろしてみましょう。」(ルカ5:5・新改訳)
それではまた来週、お会いしたいと思います。御機嫌よう。さようなら。