ご機嫌いかがですか、千葉県八千代市にあります勝田台教会の牧師をしております、坂井孝宏と申します。
聖書の中でしばしばイエス様が、「あなたたちは偽善者であってはいけない」と言って警告なさる時があります。「偽善者」っていうのは何でしょうね。
ギリシャ語では、仮面をかぶった役者、というのがもともとの意味なのだと、そういうふうに言われます。人に見せるために善行を行うような、その「人に見せるために」、その偽りの仮面をかぶっているということですね。
人間というのは誰しもそういう面があります。状況に合わせて色んな仮面をかぶって演じ分けていく。またその葛藤で苦しむ、ということがあるんですけれども。しかし興味深いことに、最近では、そういう葛藤を感じなくなっている若者が増えている、ということを最近私は学びました。
多元的自己、と言うそうですが、一切の躊躇無く、状況に応じて自分の顔をスイッチできる。そこに葛藤や罪悪感というものがないんだ。これは恐ろしいことだと思いますが、でもそういう風にして空気を読んで、仮面を使い分けていくことができる人のほうが、コミュニケーション能力が高いと評価されてしまうような時代かもしれません。
でもそうやって、色んな仮面をかぶり続けているうちに、私たちは、自分の本当の顔を見失ってしまっているということがないでしょうか。どんな仮面をかぶっても、神様には通用しませんね。神様と本当にお付き合いするためには、仮面をかぶってちゃいけない。自分の素顔で向き合わなきゃいけないんです。いや、というよりもむしろ、素顔でいいのです。何の仮面もかぶらなくていい、素顔でいいんです。