ごきげんいかがですか。東川口教会の櫻井良一です。
あるとき、教会に名前も知らない一人の婦人から相談の電話がかかってきました。その方は自分が過去に近所の人たちに不当な取り扱いを受けたことが忘れられず、今でも悔しくてならないと言うのです。
ところが、その話をもっと詳しく伺ってみると、その出来事は何十年も前に起こったことで、今はそのときに自分を苦しめた人々もどこにいるかわからないと言うのです。もしかしたら、その人たちはもはやこの世にはいないかもしれません。それなのにその婦人はその人たちのことで今も忘れることができずに、苦しみ続けていたのです。
イエス様は私たちに自分に罪を犯した人を赦すことを勧めています。実はこの勧めは、私たちが自分の人生の日々を充実して生きるために大切なことを教えているのです。なぜなら、他人に対する私たちの怒りや復讐心は私たちの心を、変えることのできない過去に縛り付け、不自由なものにしてしまうからです。そしてそれは、今という貴重な人生の時間を浪費する原因にもなるのです。
ですから、他人を許すことは自分の敗北を認めることではありません。むしろ自分の人生を過去のいまわしい思い出から解放し、今をよりよく生きるためにチャンスを与える、勝利への鍵と言えるのです。
聖書の言葉
イエスは言われた。「あなたに言っておく。7回どころか7の70倍までも赦しなさい」 マタイによる福音書18章22節