熊田なみ子のほほえみトーク 2015年6月23日(火)放送

熊田 なみ子(スタッフ)

熊田 なみ子(スタッフ)

小さな朗読会190「スリヤとの紛争」
(「母と子の聖書旧約下」86章)

 またスリヤとイスラエルの間に戦いが起こりました。皆さんも覚えているでしょう?
 アハブが王だった時、スリヤ人は、サマリヤの丘近くでイスラエル人と戦って負けました。その時、それは主が山の神だからだと思いました。翌年、彼らはイスラエルの神は、谷間の神ではないと思ったので、谷で戦いました。このため神様は、イスラエル人に勝利を与えられました。主が全地の神であることを、主はスリヤ人に知らせたかったのです。

 アハブは二度も勝利を得たので、もう一度スリヤ人を滅ぼせると思い、ヨシャパテに一緒にスリヤ人と戦うことを勧めました。預言者ミカヤは、アハブに戦いで死ぬと警告しましたがアハブはその警告を無視しました。彼は流れ矢に当たって死にました。
 それ以来、スリヤとは平和が保たれましたが、スリヤの王ベネハダデは、またイスラエルと戦うことを計画しました。スリヤ人は戦いの場所を注意して選びました。そこに陣を張り終わった時、エリシャはヨラム王に、スリヤの軍が密かに陣取っている所に行かないよう注意しました。こうしてヨラムはスリヤ人から逃れました。これが2、3回繰り返されました。
 ベネハダデは、なぜイスラエルの王が自分の陣に決して近づいて来ないのか不思議でなりませんでした。自分の軍に裏切り者がいて、イスラエルの王に陣の場所を教えているのかと考えました。彼は自分の兵に、「我々のうち、誰がイスラエルの王と通じているのか、私に告げるものはないか」と言いました。家来のひとりが、「王、我が主よ、誰も通じている者はいません。ただ、イスラエルの預言者エリシャが、あなたが寝室で語られる言葉でもイスラエルの王に告げるのです。」と言いました。
 ベネハダデ王は、「彼がどこにいるのか行って捜しなさい。私は人をやって彼を捕えよう。」と命じました。家来たちは「彼はドタンにいます。と言って帰って来ました。ベネハダデは、エリシャの澄んでいるドタンに馬や戦車や大軍を遣わしました。彼らは夜来て町を包囲しました。

 朝早く、エリシャのしもべが外に出てみて、町中が馬や戦車に囲まれているのを見て仰天しました。彼は急いで家に入り、「ああ、我が主よ、私たちはどうしましょうか。」とエリシャに訴えました。しかし、エリシャは、恐れませんでした。エリシャにはしもべに見えないものが見えていたのです。「恐れることはない。我々と共にいるものは、彼らと共にいる者よりも多いのだから。」と言いました。それから彼は、主にしもべの目を開いてくださるように祈りました。
 神様はその目を開かれました。何が見えたのでしょうか。神様はエリシャを守るため天からの火の戦車や馬を遣わしておられました。ベネハダデの兵が近づくと、エリシャは彼らをみな盲目にしてくださいと主に祈りました。そして彼らに、「あなた方は間違いました。これはその道ではない。これはその町でもない。私について来なさい。私はあなたがたをあなたがたの尋ねる人の所に連れて行きましょう。」と言いました。

 それからエリシャは彼らをサマリヤの首都に導きました。彼らが町の真ん中まで来たとき、エリシャは、「主よ、この人々の目を開いて見させてください。と言いました。主が彼らの目を開かれると、彼らは敵の町であるサマリヤのただ中にいることに気づきました。
 ヨラム王は、大変興奮しました。自分の一番大きな町に敵が入って出られなくなっており、やすやすと彼らを殺せるではありませんか。彼はエリシャに「わが父よ、彼らを撃ち殺しましょうか、彼らを撃ち殺しましょうか」と尋ねました。しかし、エリシャは、「いいえ、撃ち殺してはならない。パンと水を彼らの前に備えて食い飲みさせ、その主君のもとへ行かせなさい。」と言いました。スリヤ人を殺すかわりに、ヨラム王は彼らによい食べ物を与え、それからそれぞれの家に帰しました。

 しばらくは、スリヤ人は、盗んだり殺したりするためにやって来るのを恥らいました。しかし、平和は続きませんでした。ベネハダデは、サマリヤで本気に戦うためにまたやって来ました。彼は、大軍を率い、サマリヤの町を包囲し、誰も町に出入りできないようにしました。こういった籠城ほど恐ろしい者はありません。城壁の中の民はじわりじわりと飢え死にするほかないのです。まもなく、サマリヤ中の食料が食べ尽くされました。スリヤの兵が誰もサマリヤにいることが出来ないため、飢えている町の者は外の農民から食物が得られません。町に残っていた僅かな食料は非常に高価で、貧乏人には買えません。人々は町にいるあらゆる種類の動物まで食べました。それもまたとても高価でした。ろばの頭が銀80枚で売れました。

 ヨラム王は、町の城壁の上を歩いてみました。どこを見ても人々は飢えに苦しみ悩んでいました。王は、この包囲がエリシャのせいであると思い、その日に預言者を殺そうと思いました。彼は、イスラエルの長老たちと家に座っているエリシャのもとに使いをよこしました。エリシャはその使いの来ることを知っており戸を閉めて入れようとしませんでした。王自身が使いに続いてやって来ました。エリシャは王に、「主はこう仰せられる、『明日の今頃、麦粉1ゼアを1シケルで売るようになるであろう。』」と。シケルは、小銭で180円位の値打ちのものでした。王のそばにいて、王に腕をかしていた一人の人は、エリシャの言葉を信じませんでした。彼は、「たとえ主が天に窓を開かれてもそんなことがありえようか」と嘲笑しました。「あなたは自分の目でそれを見るであろう。しかし、それを食べることはなかろう」とエリシャは答えました。

 同じ日に4人の重い皮膚病の人たちが町の門のところに座っていました。彼らはお互いに「われわれはどうしてここに座して死を待たねばならないのか。もし町に入れば、町には食物が尽きているからそこで死ぬであろう。しかし、ここに座していても死ぬのだ。我々はスリヤびとの陣営へ逃げて行こう。もし彼らが我々を生かしておいてくれたら助かるが、たとい我々を殺しても死ぬばかりだ。」と言いました。自分たちが重い皮膚病なので、スリヤ人が恐れて手を出さないかもしれない、と思ったのです。あるいは、スリヤの兵がゴミために捨てたパンか何か、落ちているかもしれません。
 重い皮膚病の人たちは夕方になってスリヤ人の陣地に行きました。驚いたことに陣地は空っぽでした。一つ一つの天幕を全部調べてみましたが、人っ子一人いません。スリヤ人はいろんなものを全部残していなくなっているのです。

 実はこういうことが起こったのです。神様はスリヤ人に、馬のひずめの音、大軍の兵の戦争の響きに似た音を聞かせられたのです。するとスリヤ人は、怯えて、「見よ、イスラエルの王が我々を攻めるのに、他の王たちを雇ってきて我々を襲うのだ。さあ、急いで逃げないと殺されてしまう」と言って、天幕も馬もなにもかもそのまま捨てて命からがら逃げて行ったのです。

 四人の重い皮膚病の人たちは、天幕を見ました。全部からだと知って彼らは思う存分飲んだり食べたりし、それから金、銀、衣服を持ち出して隠しました。やがて、「我々のしていることはよくない。これは王に告げなければならない。黙っていては罰せられよう。」とお互いに言いました。
 彼らが町に戻ったのはもう夜でした。町の門はスリヤ人にかまえて堅く閉ざされ錠がかけられていました。重い皮膚病の人たちは門の外に立って門番に、「私たちがスリヤ人の陣営に行ってみるとそこには誰の姿も見えず、また声もなく、ただ馬とろばが繋いであり、天幕はそのままでした。」と怒鳴りました。
 門番は、他の人にそれを知らせ、その人たちは夜中、王の宮殿に行きました。王の家来が出てきて、それからこの素晴らしいニュースを知らせるために王を起こしました。王は本当だとは信じませんでした。「王は、スリヤびとが我々に対して図っていることをあなたがたに告げよう。彼らは、我々の飢えているのを知って、陣営を出て野に隠れ、我々を生け捕りにして町を取ろうと考えているのだ。」と言いました。
 しかし、ヨラム王の家来の何人かは、「残っている5頭の馬に乗って、この良い知らせが本当かどうか見てこよう」と言い出しました。これらの人々は、スリヤ人の陣地に行ってみて、重い皮膚病の人たちの知らせが本当なのを知りました。誰も陣地にいません。そこで王の家来たちは、ヨルダン川まで行ってみました。道には、慌てたスリヤ人が捨てていった衣服や武器が方々に捨ててありました。スリヤ兵の姿はどこにも見えません。

 人々は町から出ても安全だとはなかなか信じませんでした。しかし、やがて飢えているイスラエル人は、スリヤ人の陣営へ町からどっと流れ出て行きました。食べ物を得るのに夢中でした。あまり勢いよく来たので、多くの人が押し倒され怪我をしました。王は、先に腕ををかりていた副官に門の管理を仰せ付けました。ところがあまりの混雑で彼は倒され踏みつけられてしまいました。死ぬ前に彼はエリシャの預言が成就するのを悟りました。最初に陣地に着いた人々は自分たちの飢えを満たした後で、麦粉や大麦の袋を抱え、門の側に立って後から来た人たちに売りました。
 エリシャの言った通り、彼の言葉を疑った人は大麦2セアが1シケルで売られるのを見ましたが食べられませんでした。

 皆さんは、王がシナイ山で、小さな静かな声でエリヤに臨まれた時、スリヤとイスラエルに新しい王を任命するように言われたことを覚えておられますか。

 エリヤは、生きている間にこの働きを成し遂げられないのでエリシャに引き継ぎました。エリシャはスリヤのダマスコにいました。王のベネハダデは病気でした。彼は長い間治め今は大変年をとっていました。
 ベネハダデは異教徒で、偶像リンモンを礼拝していました。自分の将軍ナアマンが、重い皮膚病を癒されても、まことの神様を礼拝するようにはなりませんでした。しかし、イスラエルの神の偉大さについて何かはわかったでしょう。神の人エリシャがダマスコに来たと家来から聞いてベネハダデは、「贈り物を携えて行って神の人を迎え、私のこの病気が治るかどうか尋ねなさい。」と家来のハザエルに言いました。ハザエルは、エリシャを迎えに出ました。そして、大そう丁寧に、「あなたの子、スリヤの王ベネハダデはが私を遣わして、この病気が治るかどうか尋ねさせています。」と言いました。エリシャは王の家来に「あなたは必ず治ります、と告げなさい」と言いました。
 そしてハザエルにじっと見入りながら、エリシャは低い声で「ただし主は私に彼が必ず死ぬことを示されました。」と言いました。ハザエルはこの不思議な言葉に困惑しました。それにエリシャが自分をじっと熱心に見つめるのでなおさら当惑しました。大粒の涙がエリシャの頬を伝わりました。ハザエルは「主よ、どうして泣かれるのですか」と聞きました。「私はあなたがイスラエルの人々にしようとする害悪を知っているからです。あなたは彼らの町を焼き、剣を持って若者を殺し、幼児を石の上に投げつけて殺すでしょう。」
 ハザエルは愕然としました。なぜエリシャはこんなことを自分に言うのでしょうか。そんな恐ろしいことをするはずがありません。と彼はエリシャに抗議しました。エリシャの答えはハザエルをびっくりさせました。「主が私に示されました。あなたはスリヤの王となるでしょう。」

 ハザエルの気持ちを想像してみてください。何? ベネハダデが死んだら、自分が王になる!彼は城に帰り着くまで、そのことをずっと考えました。ベネハダデ王が預言者の言葉をハザエルに尋ねた時、彼は「あなたは必ず治るでしょうと、彼は私に告げました」と答えただけでエリシャの言った残りの言葉は告げませんでした。
 考えれば考えるほど、ハザエルは王の死を願うようになりました。そのうち、ベネハダデを殺すくらい簡単だ、という罪深い考えが心に入りました。彼は、年寄りで病気です。窒息させることぐらいわけがありません。一晩中、ハザエルは計画をねりました。翌日、彼は厚い布地を取り、水に浸し、それをベネハダデの顔にかぶせ、ベネハダデが息のできないようにしました。弱い病気の老人は、少しもがきましたが、やがてじっとなってしまいました。死んだのです。多分、人々はハザエルが王を殺したことを知らなかったでしょう。王が病気だったので自然に死んだと思いました。しかし、エリシャは事実を知っていましたし、ハザエルも知っていました。自分の主人を暗殺して支配を始めた新しい王は、残酷で血なまぐさい王になりました。やがて彼はエリシャが預言した悪いことをみなやってのけました。

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